紅茶博物館 CEYLON TEA MUSEUM
キャンディ市内中心部の外れに建ちます
製茶工場の模型もあります。スイッチを入れると本物さながらの動き
館内は、紅茶の製造工程で使われる機械、ジェームス・テーラーの功績と遺品が展示された部屋、紅茶研究所(TRI)で使用された研究機器などが展示されています。
ジェームス・テーラーの展示室には、当時使われていた道具や彼が愛用した生活用品が展示されています。下の写真にある丸い石は、テーラーのバンガローで発見されたものらしく、当時はそれで茶葉を細かくしたようです。
さて、ルールコンデラティーエステートとジェームス・テーラーがセイロンティーの初めの重要な歴史であれば、現代のセイロンティーのカギを握るのが紅茶研究所。
茶葉を細かくするための道具
スリランカの紅茶研究所 Tea Research Institute (TRI)
ディンブラにある紅茶研究所では、研究のために様々な品種のお茶の木が栽培されています
時代も変われば、気象条件、土壌、病害虫なども変化します。時代の移り変わりによって起こるお茶栽培の困難を解決しているのが紅茶研究所(TRI)です。今回は、特別の許可をもらい研究員のロヒタさんにお話を伺うことができました。
お茶の品種は大きく分けると2種類、中国種とアッサム種と考えられています。しかし、お茶を生産する国で抱える問題に合わせ、品種改良も行われています。例えば、日本でよく聞く「べにふうき」は、日本の野菜茶業研究所で開発された品種です。スリランカでも紅茶研究所で品種の研究が盛んに行われているのです。TRIで作られる品種は、TRI-○○番というように番号が振られています。
現在開発中の品種
スリランカでは、害虫と肥料対策の両方のメリットがある植物であるマーナやグアテマラを茶栽培に取り入れているそうです。お茶の木の根っこを食べる虫の駆除になり、また、土壌の肥料にもなります。
地下部分で効果を発揮するだけでなく、地上部分も有効活用できるそう。これらの葉が伸びたら、地上部分をカットしてそのままにしておくと、土を覆い土の表面の乾燥を防ぐし、やがて土に戻ると、良い肥料になるそうです。価格面でも負担の多い化学肥料より、もっとエコロジカルな栽培技術。
スリランカを訪れてからずっと、赤みを帯びた湿り気の少なそうな土が気になっていたのですが、スリランカ国内では様々な土質があるようで、それらの研究も、紅茶栽培に生かしているようです。
TRIの研究はこれ以外にも、手摘み用のかご、日陰樹、工場での紅茶製造など多岐にわたります。紅茶に関する技術的なことはすべて行っているといっていいでしょう。
TRI バイオケミストリー研究室
写真左端が紅茶ワイン
赤ワインよりも色は深く、味わいは一瞬赤ワインと錯覚を覚えた後、じんわりと紅茶らしいフルボディの渋みが表現されていました。極めて興味深い商品。完成したのは5年くらい前とか。その後、完成したものの製造業者もないまま月日が過ぎているとかで、なんとももったいない話(日本のメーカーさんのどこかで紅茶ワインの製造に関与してもられるとよいですね)。
さて、様々な紅茶記事を挟みながら、スリランカ紅茶紀行の第2回をお届けします。次回以降ですが、紅茶工場で作られる紅茶、その違い。スリランカの人たちが日常的に飲む紅茶について、また人気ブランドベスト3など、盛りだくさんのお話を予定しています。お楽しみに。
【お知らせ】
スリランカ フェスティバル2012
2012年9月8日(土)、9月9日(日)10:00~19:00 代々木公園(東京)で開催されます。入場は無料。セイロンティーはもちろん、スパイス、ハーブティー、ココナツオイルなどの販売、スリランカカレーなどのお店も多数出店予定。