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無印良品 あえて商品を変えない理由(2ページ目)

鉛筆1本、ティッシュ箱1つから無駄を省いた理にかなった哲学を貫く「無印良品」。その無印が生活提案の究極形「家」をつくりはじめてもうすぐ10年経とうとします。この10年どんな変遷を経て、家づくりが変わったのか変わらなかったのか、同社のキーマンにインタビュー。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

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--ということは、エコについてもパッシブ志向?

はい。耐久・耐震性を確保しながらダイナミックな空間づくりをSE構法で実現し、外断熱で高い気密断熱性を確保しました。無印の家はこれで十分だという意志表明でもあります。

パッシブはメッセージ

「朝の家」

「朝の家」外観

エコについても当初からパッシブを訴求してきました。古くから日本家屋が実践してきた文化を受け継いで、庇(ひさし)の形状や窓の配置によって陽射しや風といった自然の力を最大限生かす家づくりをしてきました。そのパッシブデザインの効果を「見える化」で実感していただくため、2011年11月からは全棟快温シミュレーション報告書を実施しています。

--メインターゲットは30代ファミリーということですが。

はい。大きな家でなくても、こじんまりした家でいい。家の中の部屋を間仕切る壁もいらない。みんなでご飯を食べ、テレビを見て、勉強し、階段からつながった空間で川の字で寝る。そんなこじんまりしながらオープンな暮らし方がその世代像にマッチしてきていると思います。

「川の字で寝る」がマッチする世代像

--確かに「階段続き間で川の字で寝る」といった提案は上の世代では考えられなかったでしょうね(笑)。でもそれが幸せと感じる。価値観も変わりました。ところで最近値下げ宣言をされましたが。

ポスター

10日で5万人エントリーしたキャンペーンポスター

「わけあって安い」がテーマの無印ですから、もともと宣伝費や装飾費といった無駄なコストは住宅価格に転嫁していません。しかし、おかげさまで施工実績も増え、これらの経験を生かしながら改めてつくりかたや素材などを総点検したのです。部材寸法、素材の統一化や運搬補法まで、徹底的に見直すことで部材コストも下がって工期も短縮でき、工事費を下げることができました。品質を全く落とさず、むしろ改善しながら平均100万円価格を下げられたのです。こうした努力の過程は当社では「家づくりの進化によって生まれる価格見直し」ととらえています。

--「無印良品」が家をつくっていることはまだ知れ渡っていないのでしょうか? 最近、いろいろユニークな試みを手がけているようですが。

最近でいうと、「無印良品の家」の大空間や住み心地の良さ、パッシブ・エコライフを体感していただくため、史上最大キャンペーン「ぜんぶ、無印良品で暮らそう。」を実施しました。東京に新築する「木の家」に2年無料で住んでいただける体験モニターを募集したところ(2012年6月25日〆切)、10日間で57,884人もの応募がありました。

--10日で5万人?!

収納

ショールームのキッチン下の見せる収納は参考になりそう

5万人の中から1家族を選びますから審査も大変ですが(笑)。当社は「ムジ・ネット」という社名にあるように、インターネットによるユーザーとのつながりにずっと注力してきました。その結果、WEBユーザーは55万人、ツィッターやフェイスブックも大きなコミュニティになっています。ターゲットの年代層を考えるとWEBは非常に重要なパイプで、事実、全国モデルハウスへの来客もほとんどWEB経由です。

10日で5万人が「住みたい宣言」


以前は無印良品の世界観のコアなファンが主要ターゲットでしたが、今後は一般の家づくり検討層にも「無印良品の家」があること、そして考え方を知っていただきたい。無印良品が家をつくっているということはまだまだ多くの方には知られていませんので、今後はこうした取り組みに力を入れていきたいと考えています。

--無印良品が住宅事業に本腰を入れるとなれば、ますます競争激化しそうですね。ありがとうございました。


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