梁(はり)とは? 「梁」のつく建築用語

建築用語で梁のつく言葉は小屋梁(こやばり)・大梁(おおばり)・小梁(こばり)・床梁(ゆかばり)・火打梁(ひうちばり)などがあります。

屋根を支える小屋梁、柱と柱で支えられている梁は大梁で、大梁に支えられている梁を小梁と呼んでいます。さらに床を支える梁を床梁(ゆかばり)、2階などの床や小屋組に設けるものは火打ち梁です。

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  梁の構造


〈屋根部分〉
  • 火打ち梁 : 2階の床下の梁や胴差しの隅のところに斜めに入れて、地震等による建物の変形を防ぐ部材
  • 棟木(むなぎ) : 棟に渡す横木で、屋根の一番高い位置にある部材
  • 小屋梁(こやばり) : 棟木と直行する方向に横に渡して、建物の上から荷重を支える部材

いずれも梁のつく部材は建物の揺れやねじれ、引っ張りといった力に耐えるための部材で、耐震性を考慮する際に最も入念にチェックしなければならない重要なポイントになります。

「はり」や「はる」はエネルギーに満ちあふれている状態

梁(りょう・はり)という漢字の成り立ちを調べると、水に両木をかけわたす形であると書かれています。つまり「川の上を木で渡す橋」の意味です。一般的に私達はこれを橋梁(きょうりょう)と呼んでいます。これが建物の場合は家うち(内)ということで内張り(内張)となり、梁(はり)となったのです。

梁

古い農家や民家では曲がった松の丸太を使っていた。弓を張ったような形状ということで「張り」と呼ばれていました。


「梁」を「はり」と読むことで原・腹・春・張り・貼りとつながっていきます。張る・貼るは分かりやすく、ピーンと張っている状態をあらわす言葉。原・腹はしわひとつない広々とした状態をイメージさせます。春は草花が芽吹いた状態の季節を言うのではなく、今まさに芽吹こうとしている状態。

これらすべてに共通しているのは、緊張感がありエネルギーが満ちあふれている状態だということです。建物の梁は柱と柱の間をつなぐ水平材(横架材)で、床や屋根などの荷重を柱に伝えるとても重要な部材。構造的にもエネルギーがみなぎっている形や太さでピーンとしていなければならないということです。

棟(むね)と梁(はり)が組み合わさった、棟梁(とうりょう)という人

新築の際、地鎮祭や上棟祭(上棟式)などの祭儀が行われます。地鎮祭は神主が司ります。上棟祭は棟木(むなぎ)を上げるにあたり大工の棟梁が安全を祈る儀式を行います。

これは家を支えるもっとも重要なところが棟(むね)や梁(はり)ということで、親方ではなく、粋で匠に優れ尊敬される人という意味も込めて棟梁と呼ばれ神を祭ってきたのです。したがって棟梁になれる人は一族、一門の統率者であり中心となる人物が選ばれているのです。

このことからも棟や梁の果たす役割が古くから大切にされてきたことが良く分かると思います。

言葉を裏読みするとわかる、日本の文化

建築用語の中には、鴨居(かもい)・欄間(らんま)・犬走りなど多くの動植物が登場します。その理由としては、かつて日本人は自然と共生する暮らしであったため、自然に動植物の名前が取り入れられるようになったのではないかと考えられます。

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吹き抜け部分に梁を掛け渡し力強さを表現(設計:佐川旭建築研究所)  


あらためて日本語を日本文化の源と考えると、その言葉から先人の生き方、暮らし方が見え新しい気づきを与えてくれます。その気づきを知るともっと建物を丁寧に作ろうという気持ちや大切に使おうという愛着も湧いてくるものです。

■参考
『住まいのことのは手帖』、木山悳世 著、TOTO出版

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