「無印良品」が生活提案の究極形「家」をつくりはじめてもうすぐ10年。同社の住宅の詳細な説明は同社HPを見ていただくとして、この10年どんな変遷を経て、家づくりが変わったのか変わらなかったのか、その背景にある考え方について、ムジ・ネット株式会社住空間事業部開発部長の川内浩司氏に聞きました。

--そもそも10年前、なぜ無印良品が家をつくりはじめたのですか?

無印良品では、食品から日用品、衣類まで7000品目以上の生活用品を扱っています。身の回りのあらゆるものを手がけてきた中で唯一手掛けていなかったのが、そのモノたちを包む器「家」でした。

ユーザーから「無印の家をつくってほしい」

川内氏

インタビューに応えるムジ・ネットの川内部長

私たちは以前からWEBでユーザーと双方向コミュニケーションをとってきました。「こんな商品がほしい」「この商品のここがこうなったらいいのに」と御意見をいただく中で、「無印らしい家をつくってほしい」という声があり、そうしたユーザーの声に真摯にこたえたいという気持ちで、家もつくるようになりました。こうしたことからもわかるように、当社はユーザー意見のボトムアップを反映していくことを主義としており、家についても事業ありきで始まった事業ではなかったんです。

--すでにスタート地点から無印らしいですね。その家の考え方とはどういうものなのでしょうか?

「木の家」

「木の家」外観

無印良品は創業からどの生活用品にも「無駄を省いてモノの本質を突きつめる」という哲学を貫いてきました。

家も同様です。便利な設備をやみくもに詰め込むことや、豪華さを競うこと、部屋数を確保することではなく、「暮らし方」から入っていく。無印の生活用品のように、使い心地がよく、無駄を省いた形や機能、構造だけで耐久性や環境性能がしっかりあって、愛着を持って長く使える--という無印らしい考え方が家にも貫かれています。

--外観はごくごくシンプル、中は間仕切り一つない一つ続きの大空間。気持ちいいほど潔い。

「窓の家」

「窓の家」外観

無駄を省いてモノの本質をとことん突きつめたら、自然とシンプルになった。当社の商品は2004年に「木の家」をリリースして以来、2007年に「窓の家」、2009年に「朝の家」をリリースしました。現在のところ、この3商品に加えて新たな商品を出すことは考えていません。流行を追わ、「本質を貫き通す」という発想なので、毎年のように新商品を出すということは逆にありえません。

時代のほうが追いついてきた

無駄をそぎ落としたシンプルな外観も10年前と変わらずです。実は10年前は、このシンプルすぎる外観が今ほど広く受け入れられていませんでした。しかし時代のほうが追い付いてきた。いま住宅市場でみられる住宅はほとんどシンプルですし、ユーザーの嗜好も若年層を中心にシンプル傾向になってきた。東日本大震災後はより、「シンプルで本質をしっかりおさえる」志向がユーザーの反応を見ても高まってきていると思います。

--ということは、エコについてもパッシブ志向?