腰痛のたびに安静にしていたら、筋力と骨が弱ってしまうことがあります
原因不明の慢性腰痛は安静にしない
腰痛の80~85%は、X線検査やMRI検査、血液検査を実施しても、原因疾患が特定されない非特異的腰痛として “腰痛”と総称されます。現在、明らかな原因疾患のない腰痛に対して“とりあえず安静”という考えは、予防方法としても、治療方法としても世界的に薦められていません。なぜなら、このタイプの腰痛に対してダラダラ安静に過ごすと、かえって筋肉量の低下、骨をもろくする、関節が硬くなるなど身体の不都合を起こすだけではなく、倦怠感、注意力低下、睡眠障害など、心へも悪影響を及ぼすからです。安静が薦められる腰痛とは
安静が薦められる腰痛はあります。それは、明らかな原因疾患のある、特異的腰痛と呼ばれるものです。具体的には、
・腰椎椎間板ヘルニア
・骨折
・腰椎の腫瘍
・感染症
などがあげられます。
これらの発症頻度は低いのですが、病院で血液検査、画像検査などで早期に診断を受けることが大切です。
巨大ヘルニアでも痛くない腰痛の不思議
腰痛を訴えて、病院でX線検査やMRI検査などの画像検査を受けたところ、・骨が変形しています
・椎間板が少し膨らんでいます
・椎間板がすり減っています
・椎間板ヘルニアがありますね
・骨にずれがありますね
・分離症があります
などと言われたら、誰だって落ち込みますよね。ああ、私の腰は傷んでいるんだと思えば、いっそう腰痛も感じやすくなるものです。
MRI検査やX線検査と痛みの症状が一致しないことは、よくあります
MRI異常なしでも落ち込まない
最近の腰痛の新常識としては、たとえX線検査やMRI検査で異常所見があったとしても、そのほとんどが訴える腰痛の原因を説明できない、といわれています。軽い腰椎椎間板ヘルニアの画像所見なら、腰痛があろうがなかろうが、加齢とともに誰しも一つくらいはあるものです。MRI検査による椎間板のひずみだけの所見なら、20代から見られる場合もあります。それに、こんなにひどい腰痛があるのだからMRI検査で原因が特定されるに違いない、と検査したのに原因が特定されるのは、たった5人に1人です。腰痛を訴えられる人の画像検査は、必ず行うべき検査です。しかし、その所見が自分の訴える痛みの重症度と、必ずしも一致するわけではありません。また、画像所見だけで、将来、腰痛で困り果てるかどうかの判断材料にはなりません。ですから、画像所見は異常なし、といわれても必要以上に悲観せず、痛みを正しく評価することが大切です。