火災保険の契約は、建て直しできる金額で設定
火災保険金額を設定する場合、新たに建て直しをできる金額で見直しを
Hさん:これまでは、火災保険金額を2000万円にしていたのですが、各社から送られてきた見積もりをみると、オススメの保険金額が全部マチマチなんです。これまで通り2000万円の見積もりもあれば、2200万円のものも。あれ、3000万円のものもありますねぇ。いったいどれが正しい保険金額でしょうか。
清水:どれもおそらく、たたきとしてのざっくりとした見積もりだと思います。正しい保険金額を設定するには、まず保険会社による建物の現在価値についての評価を受けることから始めます。
Hさん:現在価値というと?清水:火災保険金額を設定する場合、現在は新たに建て直しをできる金額、つまり、建物再築に必要な金額を設定するのが普通です。以前は、建物の老朽化を加味した「時価」で契約することもあったのですが、その金額では、イザ被災して建物再建といった時に、保険金だけでは建て直しができない場合もあります。なので、今の保険金額の設定の仕方の方が分かりやすいですし、契約者の方の感覚にはフィットしますね。
Hさん:なるほど、そうですね。
清水:Hさんの建物評価はこちらにありますが、2200万円がHさんのお宅を今、失った場合に必要となる再築価格、ということです。
Hさん:では、ちょっと増やして2200万円で新しい火災保険の保険金額を設定すればよい、ということですね。
清水:そうです。ただし、今後の建築費などの変動によって、再築に必要となる金額はまた変わりますから、5年毎ぐらいに保険金額を見直すことも必要ですよ。
Hさん:どのみち、見直しが必要なんですか。じゃ、5年ぐらいの契約にしておこうかな。
地震保険や家財についても、あらためて契約検討を
Hさん:これまでは、地震保険の契約はしていませんでしたが、やっぱり、契約したほうがいいですか?
清水:Hさんは住宅ローンは完済していますが、現在のお住まいは今後の「終の棲家」ですよね。地震被災時、建物が倒壊、あるいは焼失するような最悪の場合には、建て直して住み続けるご予定ですか?
Hさん:そうなると思います。ただ、現在の家は、子どもたちもすでに独立したし、夫婦2人で住むにはちょっと広すぎるんです。そういう場合は、今より小さい家を建て直すことになるだろうな。清水:その場合、現在の家計のストックでどのくらい対処できそうですか?
Hさん:それなりに蓄えはありますから、建て直し費用の工面には困らないかな。どうにかできると思います。ただ、自宅兼店舗のこの家がなくなると、今している仕事ができなくなる可能性はあります。
清水:なるほど。最悪でも火災保険金額の半分までですが、Hさんが地震保険に入っておくと、自宅が全損となった場合に使い道自由な一時金を1100万円確保できる効果があります。最悪の場合に備えて地震保険を上手く使うのも1つの方法ですよ。
Hさん:一番困った時に1100万円が確保できるなら、確かに心強い備えにはなりますね。
清水: それから、特約火災保険は建物の補償だけですから、家財は補償されません。家財とはいえ所詮古くなったモノという考え方もできますが、被災しその後に一からそろえるとなると、結構な出費になるかもしれません。この部分を踏まえて、Hさんの場合はどうしたらよいか、一度検討してみたらいかがですか。
Hさん:確か、家財の火災保険は契約していなかったです。これまで何もなかったのを幸いと考えるべきかもしれませんね。考えてみます。
【本日のまとめ】
- 特約火災保険は、満期後に再度契約することはできない
- 特約火災保険は直販であり、保険料はかなり割安に設定されている。新契約の保険料が上がるのは致し方ない
- 特約火災保険の契約時からは、数十年の時間が経過している。新契約時は、建物評価をしっかり行い、正しく契約を
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