フランス料理の日常を気軽にし、そして少しお洒落に

その日の魚料理は真鯛のブイヤベース仕立て。油やバターを極力使わずフォン主体のスープは現代フランス料理の流れを汲むもので、シンプルであり、しかし長い余韻からは丁寧な時間をかけた仕込みの後がうかがえる。
ポールボキューズ

いろんなものを削ぎ落としたシンプルなブイヤベース

肉料理はキャベツで包まれたフォアグラ入り鶏肉のガランティーヌ。ブラッスリーやビストロ料理の定番だ。さっぱりとした鶏肉に白ワインを使ったバタークリームのソースが強いアクセントをつける。それが食後感のボリューム的な満足度を高めている。
ポールボキューズ

ソースがしっかりしていることにより皿全体が引き締まる

魚料理をつけなくとも前菜とメイン、デザートのパンでそこそこの食後感は得られるだろうが、お腹一杯になりたい御仁はボリュームをサービススタッフと相談したいところだ。

シェフの木下喜信氏は32歳、レストランひらまつ博多を皮切りにパリ店研修を経て、2012年の3月に銀座店を任されている。ポール・ボキューズブランドを高めるということは自身のキャリアにも非常に重要だ。その反面、大組織の中の料理長としての立ち位置を考え、今後の自身の飛躍のために常に新しいことを考えながら伝統的なフランス料理を作り続けなくてはならない。
クリームブリュレ

クリームブリュレはボキューズ氏の考案と言われている

燦燦と陽が入るランチタイムは実に気持ちがいい。たそがれ時から迎えるディナータイムはまた違ったシックな雰囲気に包まれる。手頃な値段でフランス料理の巨匠の料理を楽しめる幸せを、今一度東京のトップブランド、銀座で噛み締めたい。

余談だが、これまでポール・ボキューズ氏とは何度もお目にかかる機会があった。最後にお会いしたのは一昨年の7月。バカンスでいないと聞いていたが、食後に御大がご登場。客席を回り記念写真に応じ、あれこれとお客と談笑する姿ですら何か突き抜けているものがある。さらにそこにピエール・トロワグロ氏がロアンヌから遊びに来て、ボキューズ氏のプルミエマダムやゲストを交えて大宴会に。それはそれは楽しいひと時であった。レストランというのはこういうところだったのか、と。
ポールボキューズ

フランス本家のシャロレー牛とフォアグラにトリュフのソース。完食にはかなりの気合が必要だ

その時の写真はある著名人曰く「奇跡」であり、私の生涯の宝物だ。

ブラッスリー ポール・ボキューズ 銀座
東京都中央区銀座2-2-14 マロニエゲート10F
Tel. 03-5159-0321
Fax. 03-3562-1210
地下鉄銀座駅 徒歩4分 JR有楽町駅 徒歩3分
マロニエゲートの駐車場あり
地図
営業時間
平日
ランチ  11:00~14:30 LO コース 3500円~
ディナー 17:30~21:30 LO コース 5000円~
アラカルト、お子様メニュー(1200円)あり
土日祝
11:00~21:30 LO
無休

最後に。リヨン郊外のポールボキューズご本家のガーデンにひとりの日本人が描かれている。辻調理師専門学校の創業者であり、MOFを持つ辻静雄氏だ。亡くなって随分と経つが、辻氏なくして日本においてフランス料理を語ることはできない。
辻静雄

ぜひ本家本元も訪ねてみたい

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