南北に長い家の敷地で、延べ面積30坪の間取りとは?
南北に長い敷地の場合は光と風の取り込み方にくふうが必要
今回は都市近郊の住宅街でよく見かける南北に長い土地で南玄関、延べ床面積100平方メートル(30坪)、木造2階建て住宅の間取り例を取り上げます。
延床面積が30坪だと「狭いかも」と思うかもしれませんが、3LDKの間取りが可能です。敷地の南向き間口が狭い場合は、採光や通風の条件をよく検討してプランニングを行う必要があります。
長い家でも30坪なら3LDKの間取りも可能
こちらの間取り図は1階の床面積は54.79平方メートル(16.5坪)、吹抜けのある2階は44.90平方メートル(13.58坪)、合計した延べ床面積は99.69平方メートル(30.15坪)となっています。こちらでご紹介した狭小間取り(15坪)の約2倍あります。延べ床面積が30坪の場合、一つ一つの部屋はややコンパクトになりますが、独立したキッチン、リビング、ダイニング、洋室・和室合わせて3つの個室を配する3LDKの間取りができます。
しかしゆとりがあるわけではなく、1階の和室(畳の間)は4.5帖となっています。もしこの和室を「予備室」として使用するのならこの程度の広さで問題はないでしょう。その分リビング・ダイニングなどを少しでも広くしたいところです。
南北に長い敷地の場合……中庭から光と風を取り込んで
密集した住宅地では南北に長く、南間口の狭い土地を多く見かけます。南北に長い敷地の場合、風と光の取り入れ方に工夫が必要です。今回の間取り例のように、中央部に中庭(ウッドデッキ)を配し、リビング・ダイニングの採光・通風をここから取り入れる方法もあります。窓を開ければ室内と屋外が一体となり、空間的な広がりも期待できます。このウッドデッキの南面はカーポートで、日照条件のよい中庭となっています。
長い家でも、吹き抜け・ロフトで縦方向の工夫を
吹き抜けがあると空間的な広がりを得られる
延べ床面積30坪、3LDKの間取りでは、ひとつひとつの部屋に面積的にもう少しゆとりがあってもいいな、というところではないかと思います。そこでリビングの上部に吹抜けを設け、空間をより広く感じられるようにしました。
また、2階の北側の寝室(子ども部屋)も家具を置くと狭めですが、ハシゴを使って登るロフトを設けてみました。ここで就寝すればベッドを置かなくて済むので部屋を広く使えます。子どもはこのような隠れ家的な空間が大好きです。平面図で見ただけではわからない空間的な広がりやワクワク感のある間取りとなっています。
南北に長い30坪住宅に適切な家族人数は?
延べ床面積が100平方メートル(30坪)の戸建て住宅は、何人家族に向くでしょうか。「住まいの広さはどのくらいが基準になる?」という記事で触れた居住水準表によると、3人家族の理想の広さは100平方メートル(30坪)となっています。今回ご紹介した30坪の間取り例も「夫婦+子ども」の3人家族を想定してプランニングしています。参考までに、4人家族になると理想の住居面積は125平方メートル(約38坪)、2人だと75平方メートル(約23坪)になります。今後、それらの面積の住宅間取り例も取り上げていきたいと思います。
関連記事
- 住まいの広さはどのくらいが基準になる?
- 外部空間とロフトで狭さを克服 15坪住宅の間取り
- 20畳リビングも夢じゃない 35坪住宅の間取り
- 建坪25坪・長い敷地を活かした+α空間のある間取り
- 家を風通しよくするための3カ条
Copyright(c)2012 住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 All rights reserved.