エスニック料理/おすすめアジア料理店

ウズベキスタン料理「アロヒディン」(2ページ目)

八丁堀と茅場町の間のオフィス街の一角に、2012年4月、ウズベキスタンの家庭料理を提供する店がオープンした。ロシアやトルコの影響を受けたウズベキスタンの料理は、お酒との相性が抜群。同店では、お酒とともに、をコンセプトに、小皿料理を多数揃え、未知なる料理を気軽に楽しめるようになっている。

佐藤 わか子

執筆者:佐藤 わか子

世界のおうちご飯ガイド

お酒とともに小皿料理を

アロヒディンの店内を見回すと、まず鮮青のテーブルクロスが目に飛び込んでくる。テーブル間にゆとりをもち、装飾を最低限にほどこしているためか、雑居ビルの地下にありながら、店内には気持ちをそっと静めてくれるような空気がゆっくりと流れていた。
にんじんサラダ

数日間寝かした「にんじんサラダ」。酸味とディルの香りが鮮烈

料理は、小皿盛りが大半。量にしたら、ひと皿1~2人前といったところだろうか。前菜系の料理は、多くの種類を頼めて嬉しいが、肉料理などは、もう少し量があってもいいかなぁ、と若干物足りなさが拭えないのは正直なところ。
ホール担当の日本人女性によれば、お酒とともに料理を召し上がっていただきたい、との想いからであるという。

お酒は、トルコ、グルジア産のワインに加え、ビール、カクテルなど、それぞれ種類はそう多くないものの、ひと通りはそろっている。ワインに関しては、ウズベキスタン産のワインもあり(現在はメニューに載っていないが)、今後は直接契約をして、常時店に置く予定だという。

ワイン造りの歴史が数千年にもおよぶ中央アジア。醸造技術では遅れをとったものの、ぶどうの品質がよく、近年では世界的にも注目されはじめているという。ウズベキスタン産のワインとは、いったいどのような味わいなのだろうか。シルクロードの要塞地であった頃に思いを馳せながら、じっくりと口に含みたいものである。

適度な辛さが食欲をそそる

アチチュク

さっぱりとしたなかに辛子の辛みが引き立つきゅうりとトマトのサラダ「アチチュク」

さて、料理だが、厨房に立つのは、ウズベキスタン出身の若き男性だ。母親から受け継いだ家庭の味を、ウズベキスタンの煌びやかな小さな皿に披露する。ピリリと辛みのきいたトマトときゅうりのサラダ「アチチュク」に、数日間寝かせディルの香りでアクセントをつけた「にんじんサラダ」、肉の串焼き「シャシリク」など。
グリチカ

グリチカと呼ばれるそばの実を添えた「キョフテのグリチカ添え」

なかでも、食指が動いたのは、「グリチカ」を使った料理である。グリチカは、そばの実のこと。同店では、茹でてグリルしたハンバーグに添えたものと、羊肉と炊き込んだものの2品を提供する。グリチカは、現地では庶民的な食べ物のようだが、日本で口にできる店はほとんどないことから、ロシア人もグリチカ恋しさにこの店の扉を開けるのだという。
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