マイホームの購入、保有、改修、売却にあたっては、国や自治体により、いろいろな優遇制度、支援制度、助成制度、補助金制度などが設けられています。住宅ローン控除のようにほとんどの人が関心を持っている制度もあれば、一般にはあまり知られていない制度もあるでしょう。

新築住宅

住宅にはさまざまな支援制度がある

それぞれの制度の目的は、住宅需要の喚起による国内経済の活性化や住宅品質・安全性の向上、住宅における省エネ化の推進などさまざまです。

国による助成制度などでは、事業者や研究者を対象にしたものも多いのですが、私たちの生活に密接な関わりがあるものも少なくありません。

そこで、個人を対象とした「マイホームの購入、保有、改修、売却」に関する各種の制度のなかから、2017年(平成29年)に使える主なものの概要をまとめておくことにしましょう。

自分に該当すると考えられる制度がある場合には、それぞれ具体的な適用要件などをご確認ください。なお、文中に記載した期限は延長される場合、あるいは予算の消化などにより前倒しして締め切られる場合などがありますからご注意ください。

また、今後の税制改正などにより、文中に記載した期限が延長される場合もあります。

それでは、一般の住宅の取得時と売却時における税制上の優遇措置からみていきましょう。


住宅ローン控除制度

住宅ローンを借りてマイホームの購入や建築、増改築工事などをした場合に、年末の借入残高に対する一定割合が所得税から控除されます。所得税から控除できない分については、翌年の住民税から一定額が差し引かれます。

消費税率の引き上げに伴い、2014年4月から最大控除額が400万円に拡充されました。ただし、これは建物本体に消費税が課税される場合であり、中古住宅など非課税物件の場合は最大控除額が200万円となります。

また、2014年度の税制改正により、築年数が古い住宅でも「購入してから入居するまでの間」に耐震改修工事を実施すれば住宅ローン控除制度の適用が可能となっています。

さらに、2016年度の税制改正により、海外赴任者が帰国前に住宅を購入するような場合でも適用できることとなりました。

なお、認定長期優良住宅および認定低炭素住宅の場合には、それぞれ最大控除額を100万円上乗せする措置がとられています。


すまい給付金制度

住宅ローン控除制度の拡充は高所得者層に有利な反面で、所得が低い層には効果が薄く消費増税による影響が大きいことから、2014年4月に「すまい給付金制度」が導入されました。

一定の所得水準以下の人が、消費税がかかる新築住宅の購入、建築などをしたとき、都道府県民税の税額に応じて一定金額が給付されます。要件を満たせば、現金購入の場合でも給付対象となります。

なお、10%の消費税率がかかる物件を購入、建築する際には「すまい給付金」の金額や対象者が拡充されますが、再増税の実施時期は2019年10月1日に延期されました。


贈与税の非課税措置

直系尊属から住宅取得などの資金を贈与された場合には、一定要件のもとで非課税措置の適用を受けることができます。2017年の非課税枠は700万円ですが、一定の耐震性、省エネ性、バリアフリー性のいずれかを満たす住宅を取得する場合には500万円が上乗せされます。

なお、消費税率の再引き上げが2019年10月に実施される場合には、半年前の2019年4月に非課税枠が拡大(10%の消費税を負担した場合に、一般住宅2,500万円、質の高い住宅3,000万円)されることになっています。

また、60歳未満の親からの住宅取得資金贈与を相続時精算課税制度の適用対象とする特例は、2021年12月31日までとなっています。ちなみに、相続時精算課税制度の原則は従来「65歳以上の親」でしたが、2015年1月1日からは「60歳以上の親」に改められました。


登録免許税の軽減措置

住宅用家屋の所有権の保存登記、移転登記、住宅ローンにかかる抵当権の設定登記について、登録免許税の税率が軽減されます。また、土地の移転登記についても登録免許税の税率が軽減されています。

適用期間は住宅用家屋が2020年3月31日まで、土地が2019年3月31日までとなっています。

また、2014年度の税制改正により、宅地建物取引業者による買取再販物件で一定の要件を満たすものについて、所有権移転登記に係る登録免許税の軽減措置が設けられました。2018年3月31日までの適用となります。


不動産取得税の軽減措置

一定の土地や住宅を取得した場合には不動産取得税が軽減されます。税率の軽減措置および土地の課税標準額の減額措置は2018年3月31日まで、土地取得から住宅新築までの期間を緩和する措置も同じく2018年3月31日までとなっています。

また、2015年度の税制改正により、一定の要件を満たす買取再販物件について不動産取得税を軽減する措置が設けられました。2019年3月31日までの適用となります。

なお、住宅用家屋に対する課税標準額の減額特例は、恒久的な措置として運用されています。


固定資産税の軽減措置

小規模住宅用地の課税標準を6分の1とする特例があるほか、一定の要件に該当する新築住宅では新たに課税される年度から3年度分(マンションなど3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)の固定資産税のうち、120平方メートルまでの居住用部分に相当する税額が2分の1に減額されます。適用対象は2018年3月31日までに新築された住宅となっています。


印紙税の軽減措置

契約金額が1,000万円を超える不動産の売買契約書および建築工事の請負契約書にかかる印紙税(貼付する印紙代)については、それぞれ税額が軽減されます。適用期間は2018年3月31日までとなっています。


居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除

個人がマイホーム(居住用財産)を売却したときに利益(譲渡益)があれば、一定要件のもとで譲渡所得から最高3,000万円までを控除することができます。居住しなくなってから3年以内に売却すること、売却する相手が特別な関係者ではないことなどの要件がありますが、適用期限の定められていない恒久的な措置です。

また、2016年度の税制改正により、親などから相続した一定の空き家(または空き家解体後の敷地)を2016年4月1日から2019年12月31日までに売却すれば、3,000万円を控除することのできる特例措置が設けられました。


居住用財産の買換え特例

個人がマイホーム(居住用財産)を売却して買換えをした場合には、譲渡益に対する課税が繰り延べられます。

売却するマイホームと購入するマイホームの両方に一定の要件があるほか、2017年12月31日までに売却し、2018年12月31日までに新たなマイホームを購入することなどが必要です。


居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

所有期間がいずれも10年を超える土地と建物(居住用財産)を売却した場合には、その譲渡益に対して3,000万円の特別控除を適用したうえで、それを上回る分に対しては一定の軽減税率が適用されます。これも適用期限の定められていない恒久的な措置です。


住宅の譲渡損失にかかる特例

マイホーム(居住用財産)の売却によって損失が生じた場合には、一定要件のもとで「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」または「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除」のどちらかを適用することができます。2017年12月31日までの譲渡に対して適用されます。


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