ライフイベントにはストレスがつきもの
夫婦関係が崩れるときが最もストレスが高まるとき
1960年代後半にアメリカの心理学者、ホームズとレイが約400人の男女の回答をもとに、「社会的再適応評価尺度」というデータを作成しました。これは結婚を50点とした場合、他のストレスは何点になるのかという差異を評価したデータで、心理学理論のなかでよく登場します。まずは上位10位から見ていきましょう。
1位 配偶者の死 100点
2位 離婚 73点
3位 夫婦別居生活 65点
4位 拘留や刑務所への留置 63点
5位 家族の死 63点
6位 自分のけがや病気 53点
7位 結婚 50点
8位 解雇・失業 47点
9位 夫婦の和解・調停 45点
10位 退職 45点
「結婚」を基準にすると、「配偶者の死」は2倍のストレスになります。この上位10位のなかでは、半分が結婚や夫婦生活にかかわるライフイベントであり(太字部分)、パートナーとの別れに関する項目が上位3位を占めています。夫婦のパートナーシップを重んじる米国文化ならではの結果かもしれませんが、家庭を持つ人にとって夫婦関係は人生の要でもあり、この関係性が崩れると何よりも大きな打撃となることが分かります。
ハッピーな出来事でもストレスはたまる
幸せな新婚生活でも気付かぬうちにストレスがたまっている
11位 家族の健康上の大きな変化 44点
12位 妊娠 40点
13位 性的な障害 39点
14位 新しい家族ができる 39位
15位 ビジネスの再調整 39点
16位 経済状態の変化 38点
17位 友人の死 37点
18位 仕事の変更 36点
19位 配偶者とのけんかの数 35点
20位 1万ドル以上の借金 31点
11位以降は夫婦(男女)の関係、家庭の問題、仕事やお金の変化など、さまざまなライフイベントが登場してきます。さらにこれに続く順位では、家庭と家族の問題、仕事や労働条件の変化、環境や活動の変化、学業における変化、生活習慣の変化など多岐にわたっていき、ライフイベントも小さなものが増えてきます。
この評価尺度で注目したいのは、7位の「結婚」、12位の「妊娠」や14位の「新しい家族ができる」のように、一般的にめでたく幸せなことでも、ライフイベントが大きいとストレスも高くなることです。つまり、毎日が変化に富んで楽しく、愛情にあふれた生活を送っているとしても、ライフイベントが大きいと、本人も気づかないうちにストレスをためやすくなっているということです。