子どもは遊びを通じて心を解放する
1人の子どもとじっくり遊ぶ時間をとる
「子どもは遊ぶのが仕事」と言われます。それは、子どもは遊びを通じてコミュニケーションを学んだり、感情表現をしたり、自分の考えを遊びの中で具現化したり、ストレスの発散の仕方を学ぶことができるからです。体いっぱい遊び、一緒に遊んだ相手と笑い合うことは、他人との共感や信頼を学ぶための大切な機会でもあります。
遊びを媒介にしたカウンセリングは「プレイセラピー」と呼ばれ、幼児、児童を対象とした心理相談でよく行われています。自分の考えを言葉にするのが難しい子どもにとっては、言葉より遊びを中心にしてセラピストと関わる方が、気持ちを表現しやすい場合が多いのです。
好きなゲームや人形遊びなど、遊びを通じてセラピストと気持ちのやりとりをするなかで、子どもはセラピストに信頼を寄せていきます。すると、心に閉じ込めていた気持ちを表出するチャンスが訪れます。表出したつらい思い、複雑な心情をセラピストに受け止められることで、子どもはありのままの自分を肯定し、自信を持てるようになっていきます。
遊んで心がほぐれれば素直な自分が戻ってくる
遊びの魔法を親子でぜひ実感してみましょう
だからこそ、頑張りすぎている子、ヘソを曲げている子ほどちゃんと時間をとり、たっぷり遊んでみましょう。ほんのたまにでもいいので、2人だけで遊園地に出かけたり、2人だけで思いきりゲームを楽しんでみましょう。
親子で遊べば、子どもはすぐに心を開いて、その子らしい素直なほほえみを浮かべてくれるでしょう。こんな風に、子どもの心が開いてきたら、じっくり話を聞くチャンス! 並んで座ってギュッと抱きしめ、「いつも忙しくて、一緒に遊んであげられなかったね。でも、今日は2人で遊べて本当に楽しいね」と笑顔で話しかけてみましょう。
そして、「最近疲れてるみたいだけど、何かイヤなことでもあるのかな・・・・・・」と、さりげなく聞いてみるといいでしょう。ただし、詮索したり答えを急かしたりせず、子どもが自分のペースで話せるよう、じっと受容的な態度で待つこと。「こうなんじゃない?」「こう思ってるんでしょ?」と先走って答えを誘導せず、子どもが自分の言葉で話せるように待つことです。「何を話してもいい」と安心できれば、子どもは少しずつでも自分の気持ちを話してくれると思います。
遊びは、親子の関係を急速に近づけてくれるステキな魔法です。一緒に楽しい遊びに集中し、笑顔を交わし合えば、素直な気持ちがすぐに戻ってきます。
「忙しくて遊ぶ時間を持てない」という人は、たとえば休日の1時間でもいいのです。心が離れかけていると感じたら、その子一人としっかり遊び、気持ちを通わせましょう。すると、子どもはありのままの自分を受け止めてもらえた喜びを感じ、お母さんやお父さんを信頼して、自分らしい笑顔を取り戻すことができるでしょう。