早期退職、希望退職を募る会社が増えている
会社の業績が不振で、売り上げが悪化し、赤字決算に転落するなどした企業は、早期退職、希望退職を募ることがあります。3月末の決算数字が近いこともあり、最近のニュースを見ても、人員削減のニュースは多いようです。たとえば、液晶パネル製造装置大手のアルバックは従業員の約1割を希望退職を募り、49億円を特別損失として計上すると報道されています(4/27付日本経済新聞)。セイコーは退職金の特別加算金が生じるため、31億円の特別損失が生じると発表しています(4/24付日本経済新聞)。これらは希望退職に関するニュースのほんの一例です。
一時期話題になったのは大阪市交通局がバス運転手を対象に行った希望退職です。多くの応募者があったとされます。今まで行われていなかった国家公務員の希望退職制度も検討されており、この場合は退職手当の増額も検討に含まれるとしています(3/21付日本経済新聞)。
希望退職を募っている期間に退職に応じると、退職金が割増になることが多いため(会社に特別損失が生じるのは巨額の退職金支払費用が生じるから)、「だったらこの時期に辞めた方がいいかな」と思う人がいます。これは正解でしょうか?
希望退職の基本的な仕組み
まず、希望退職と割増退職金制度のポイントです。一般に自己都合で会社を辞めると退職金水準はカットされます。勤続年数にもよりますが、おおむね10~30%のカットになります。しかし希望退職を募った期間の退職についてはこの自己都合減額を行いません。また、退職金の上積みを行うことで、短期的に退職者を増やすことも希望退職期間には行われます。ただし、どれだけ上積みされるかは各社の取り組み度合いによって異なります。給与の半年程度を上積みする会社もあれば、1年~3年といった金額を支払うケースもあります。希望退職の条件と一定の応募期間が会社から示され、その間に応募した社員が示された割増退職金の条件で退職することができます。
会社にとっては一時的にコストが増えても、中長期的に固定的な人件費(給料・賞与、社会保険料等)を払わずにすむため、こうした割増退職金を提示するわけです。(強制的に解雇をすることは日本の労働法制上難しい)
それでは、こうした希望退職の仕組みについて、個人の立場でどう考えてみればいいのでしょうか。
→次のページで損得の分岐点を考えてみます