美しき廃墟ヴィッラ・アドリアーナ
島のヴィッラ。島の中にあるのが直径43mのテアトロ・マリッティモ(海の劇場)で、ハドリアヌスはしばしばここにひとりこもっていたという
コリント式の柱が林立する養魚場ペシエラ
現在見られるのは廃墟。壮大な建物も飛び抜けて美しい建築物も残っていないが、その廃墟が美しい。
最大の見所は運河跡カノープスだ。エジプトのふたつの古代都市、アレクサンドリアとカノープスをつないでいた運河をイメージしたもので、運河の周囲にはギリシア神話の神像や女神を象った柱・カリアティードが並べられている。
フォトジェニックなカノープス
そして島のヴィッラ。ストーンヘンジのように柱を円形に並べ、中央に池を造ってその中に島を浮かべた劇場跡だ。島の中にはテアトロ・マリッティモ(海の劇場)があり、ハドリアヌスはしばしばここへ渡り、自分が島に入ると橋を上げさせてひとりになったという。
所々に植えられているオリーブの木
ヴィッラ・アドリアーナはひと目で楽しめるような世界遺産ではない。でも、カノープスとテアトロ・マリッティモは大好きな空間だ。
ヴィッラ・アドリアーナの4つの見所
ヴィッラ・アドリアーナの復元模型。ローマからルネサンス、そして現在に至るまで、時代時代の建築家たちがここを訪れ、そのデザインを研究した
■エントランス周辺
大浴場。天井の穴は換気のためのもの
■丘陵地帯
ロカブルーナの塔やアカデミー、リリーの池、地下ギャラリー等がある一帯。ロカブルーナの塔からはティヴォリの街はもちろん、ローマまで見渡すことができる。
■ヴィーナス神殿とギリシア劇場
エントランスからもっとも離れた地区。神殿も劇場も円形だが、ヴィッラ・アドリアーナのあちらこちらに見られる円や半円、楕円を多用したデザインは、ルネサンスやバロック建築に少なからぬ影響を与えたという。ヴィーナス神殿にはドーリス式の柱と破壊されたヴィーナス像が残されている。
■王宮周辺
エクセドラのある建物