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住宅ローンあり、貯蓄なし。地震保険は必要?(2ページ目)

「地震保険ってわかりにくい……」「結局、わが家は入ったほうがイイの?」「保険料が高い!」「あまりもらえないと聞いた。かけたらソンしない?」など、地震保険に関しては、その内容よりもイメージで語られがちなもの。実際のところはどうなのでしょうか。以下、よく耳にする素朴な疑問を事例で解説していきます。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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地震保険、高いといわれる保険料は「ホントに高い」のか?

地震

地震保険の補償はもっと手厚くしてほしいけれど……

Q4:火災保険の半分しかかけられない。もっと補償が手厚ければ入ってもいいと思うけど……。

A:東日本大震災では、約1兆2749億円(2017年3月31日時点)の地震保険金が支払われました。支払われた保険金の総額としてみたとき、これは歴史的にも巨額の保険金です。阪神淡路大震災で支払われた保険金は783億円でした。また、生命保険に目を転じると、東日本大震災で支払われた生命保険金は、1599億円(2013年3月末時点)でした。

地震は非常に多くの住宅や家財に損害を及ぼし、地震の規模により、地震保険金の支払い総額は相当に巨額のものとなる可能性があるとわかるでしょう。ところが、地震はいつ、どこで、どの程度の規模で発生するかがわからない災害です。それでも契約した地震保険金は確実に支払われなければなりませんから、1契約あたりの保険金額に上限を設け、保険会社や国の保険金の支払い責任が大きくなりすぎないようにしているのです。

地震という災害の特性を踏まえると、火災保険の半分までで地震保険の契約をする仕組みは、制度維持をしていくうえで現状ではやむを得ない措置ということになるでしょう。


Q5:補償の割に保険料が高いと思う!

A:私たちは火災保険や地震保険のほか生命保険など様々な保険に加入し、保険料を支払っています。生命保険分野について考えてみると、1世帯が支払っている生命保険料の平均額は、年間約39万円。つまり、月額で3万円強ということになります。また、40歳の男性が1000万円の死亡保障を確保したときの月額保険料は2990円、年間で3万5880円(オリックス生命・ファインセーブの場合)です。1世帯の平均死亡保険金額は約3000万円なので、多くの世帯ではそれなり保険料を負担して、死亡保障を確保しているということがわかります。

一方、地震保険について考えてみると、保険料がもっとも高い東京都の場合でも、保険金額1000万円当たりの保険料は、木造住宅で年間3万2700円、マンションで2万300円です(いずれも昭和56年以降新築の建物。2017年現在、建築年割引適用後)。つまり、月額で見ると数千円ということになり、地震保険料それ自体は、それほど大きな負担感を持つような金額とは考えにくいでしょう。

高いと感じられるのは保険料そのものというよりもむしろ、火災保険だけの時と比較すると、上乗せする分だけ保険料が高く感じるとか、そもそも、火災保険金額の半分が契約できる上限であることからくるイメージにあるようにも思われます。

ポイントは、将来における家計の経済的ダメージに対し、わが家がまとまった一時金が確保することの必要度がどれだけ高いかということです。地震被害の場合、生計維持者死亡の場合、入院の場合……。様々な不測の事態のなかで、どのような事態があえて保険料を支払っても備えるべき事態なのかを見極めることからはじめましょう。

 

ライフプランを阻害する「地震リスク」を想定しよう

わが国では昨今、各地で地震が頻発しています。私たちのライフプランを阻害するリスク要因として、これまでになかった「地震リスク」を想定せざるを得ないのが現状なのです。

これまでの「家を持って一人前」「クルマは一家に一台」といった価値観や暮らし方を見直す時期に来ているといえるでしょう。

なぜなら、こうした固定資産は購入時だけでなく、保有する限り将来にわたって税金やメンテナンス料、保険などの維持コストがかかります。しかし、地震などの災害によってそれらを守りきれないことがあることもまた、私たちは知っています。

こうした固定資産を「持たない暮らし」は、被災時の経済的リスクを抑えられる、ともいえます。どの人にもみな、それぞれの望む暮らしがありますが、これまでの「常識」にとらわれることなく、身の丈に合った暮らしを考える視点が求められているのかもしれません。


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