節税対策として「中小企業倒産防止共済」を活用
節税対策としても活用できる共済制度
本来の目的は、取引先の倒産に備えるための共済制度ですが、掛金の全額を損金処理できるため、節税対策として活用することができます。また、2011(平成23)年10月に、より使い勝手のいい改正がされております。
改正内容の一つとして、掛金月額の上限金額が「8万円」から「20万円」に引き上げられました。毎月支払いのほかに年払支払いが可能なため、3月中に加入し、掛金の年払をした場合、20万円×12か月=240万円を損金処理することができます。法人実効税率40%とした場合には、240万円×40%=96万円もの節税効果が生まれます。
さらに、解約しても、掛金の納付月数が40ヶ月(3年4ヶ月)以上で、共済金の貸付を一度も受けていない場合は、払い込んだ掛金の全額を受け取ることができます。その場合には、収入で受け入れることになりますが、解約理由は不問です。
また、掛金総額が掛金月額の40倍に達していれば、積立限度額の800万円に達していなくても掛金の払い止めをすることができます。
民間保険会社においても、保険料が全額損金となる商品はありますが、「40ヶ月以上加入すれば解約返戻率100%」となるのはメリットですので、中小企業倒産防止共済を一度検討されてみてはいかがでしょうか。
消費税の届出は3月中
消費税の節税ポイントは大きく2つあります。1つは、免税事業者を活用すること、2つ目は原則課税か簡易課税かいずれか有利なほうを選択することです。まず、免税事業者を活用することですが、消費税の課税事業者になるかどうかは、原則、基準期間(前々事業年度)における課税売上高が1,000万円を超えるかどうかにより判定します。1,000万円を超えると課税事業者になります。1,000万円以下の場合は、一般的に免税事業者のほうが有利となることがが多いですのですが、1,000万円以下であっても、還付を受けたい場合には課税事業者を選択することができます。この場合、「消費税課税事業者選択届出書」を原則、適用しようとする事業年度開始の日の前日までに税務署に提出しなければなりません。ただし、この場合、2年間免税事業者となることができません。
また、2010(平成22)年4月1日以後、下記の課税期間中に、調整対象固定資産を取得した場合には、注意が必要です。
○ 「消費税課税事業者選択届出書」を提出した事業者は、課税事業者となった日から2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中
○ 資本金1,000万円以上で設立した法人は、基準期間のない各課税期間中
具体的には、調整対象固定資産(棚卸資産以外の資産で税抜き100万円以上のもの)の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の確定申告を原則課税で行う場合は、その調整対象固定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日から、原則として3年間は、免税事業者となることはできず、簡易課税を適用して申告することもできません(ケースによっては、3年目に「調整対象固定資産を取得した場合の仕入に係る消費税額の調整」が行われ、過度な節税が規制されます)。
課税事業者を選択する場合は、トータルで有利不利を判定する必要があります。
そして、2つ目は原則課税と簡易課税のいずれか有利なほうを選択することです。原則課税は預った消費税と支払った消費税との差額を国に納付するため、納税者に損得はありません。一方の簡易課税は、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の場合に適用でき、預った消費税に業種による一定のみなし仕入れ率を乗じて納付税額を計算するため、原則課税に比して損得が生じます。簡易課税を選択する場合も、適用しようとする事業年度開始の日の前日までに届出をしなくてはいけません。簡易課税制度の場合も2年継続適用要件がありますので、2年間縛りで有利不利を選択することになります。
また、やめる場合にも、やめようとする事業年度開始の日の前日までに税務署に提出しなければなりませんので、覚えておいてください。
消費税については、毎期この時期(決算前)に事前シミュレーションを行い、どの課税方法が有利なのかや届出が必要なのかどうかなどを是非ご検討ください。