DV被害者、加害者としての人生を選んでしまう訳とは?
DVをする側もされる側も心に大きな問題を抱えている
暴力は、力で弱い相手を痛めつけて快楽を得るというとても身勝手な行動です。しかし、そもそもそうした相手をパートナーとして選んでしまうのは、相手の威圧的な面に惹かれ、その人のもとで暮らす以外に生きる道を選べないという心情になっているからなのかもしれません。
その背景には、たとえば自分が幼い頃、親やきょうだいなど、身近な人から暴力を受け続けることで自尊心や自立性を奪われてしまったこと。また「自分さえ犠牲になれば、家族の心ときずなをつなぎとめられる」という思い込みが、無意識のなかに強く根付いてしまっていることが関係している場合があります。
しかし、実はこの価値観が逆に暴力を増長させ、相手が自分の行為を心から反省する機会を奪ってしまうのです。
ある一定の人間関係に依存することを「共依存」といいます。「私が支えているからこそ、この人はやっていける」と、自分が犠牲になって支えることで、自分と相手の自立性を奪う共生関係を築いてしまう依存のことです。DVのパートナシップを断ちきれない人のなかにも、こうした共依存的な傾向を持つ人が多いと思います。
そして、加害者にも、自尊心のよりどころを暴力に求める心の弱さがあり、その弱さは幼い頃から自分が受けてきた家族や身近な人との関係性が影響している場合があります。
そうした自分自身や、DVを繰り返す関係性を振り返るためには、第三者、特に専門家の支援が非常に有効です。DVや人間関係、嗜癖問題に詳しいカウンセラー、地域の男女共同参画センター、女性センター、婦人相談所など、この問題について一緒に考えてくれる専門家は身近に必ずいますので、ぜひ相談してみてください。