メンタルヘルス対策は企業の経営責任
精神疾患は身近な病です
うつ病を始めとする精神疾患は今や身近な疾病になっています。厚労省は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病のいわゆる4大疾病に、精神疾患を加えて5大疾病とする方針を昨年7月に発表しました。
精神疾患の中でも特にうつ病は、誰もが罹患する可能性があるものです。実際、一生の間にうつ病に罹患する者の割合は、6.5%(生涯有病率、平成14年厚生労働科学研究費補助金による疫学調査)と言われています。およそ15人に1人くらいの率でうつ病に罹患する可能性があるということです。
■精神疾患が増加するストレス社会
企業の中でもうつ病になる従業員が増えています。優秀な従業員の仕事の能率が悪くなり、突然欠勤しだしたと思ったら、うつ病だったということは日常茶飯事です。
私の所にも、「従業員に診療内科を受診させたところ、うつ病と診断された。会社としてどう対応すればいいのか」といった相談が増えています。
成果主義の導入や仕事の効率化が求められる昨今、心の病が企業社会で広がってきているのは確かです。特に最近はうつ病を隠したりせず、むしろオープンにして会社にそれなりの対応を求めてくる従業員が増えてきたので、うつ病が増加しているという印象がさらに強くなっています。
また業務上の理由でうつ病などの精神疾患に罹患した場合に、労災として扱われるようになったことから、うつ病による労災申請が高水準で推移しています。
1998年時点では精神障害による労災申請件数が42件しか無かったものが、2010年では1181件と大きく増加。これは1999年に「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」が制定され、精神障害が労災認定されるようになったことが大きく影響しています。
最近の精神障害による労災認定状況は、厚労省のサイトでも確認できます。