ある震度の揺れが起こった際に、どのような状況に陥るのか―――
それを分かりやすくまとめたのが、気象庁が作成した「気象庁震度階級関連解説表」です。震度6強や震度7など大きな地震に見舞われた時、人の体感は、室内の状況は、街は、家は、どうなるのか順に見てみましょう。
室内では立っていられないほどの揺れ
震度6強及び震度7の時に人が揺れで体感する状況を表にまとめました【表1】。これによると、大地震発生時には大きな揺れのために自分の意思では動けず、揺れに身を任せるしかない状況になります。また、室内では固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたり、中には飛ぶものも出てきます。
従って、日頃から家具を固定しておくことがとても大事であることがわかります。また、小さなお子さんの過ごす部屋ではとっさの時にもぐり込めるスペースなどを確保しておくと良いでしょう。
外では落下物やブロック塀に注意
震度6強や震度7の地震が発生したら、外壁のタイルや窓ガラスが落ちてくる可能性が高くなります。また、ブロック塀が崩れて下敷きになる可能性もあります【表2】。「地震がきたらどこに逃げると安全?」で述べたように、大地震が起こったら、あわてて外に出るのではなく、周辺の状況を確かめてから安全な場所に移動するようにしましょう。
木造住宅の被害状況
木造住宅の状況を下記にまとめました【表3】。木造住宅及び次に述べる鉄筋コンクリート造のマンションに関しては「耐震性が高い」とは1981年以降に建てられたもの、反対にそれ以前に建てられたものを「耐震性が低い」とざっくりと分けています。実際には耐震診断などでどの程度の耐震性があるか判断することが大切です。
耐震性が低い木造住宅では、震度6強で壁などに大きなひび割れが生じるものが多くなり、倒壊・崩壊の恐れがあること、震度7ではさらに倒壊・崩壊する件数が増えることが分かります。家が倒壊・崩壊するということは、下敷きになって亡くなる可能性があることを意味します。
対して「耐震性が高い」場合は、震度7でも「まれに傾くことがある」程度とされており、家の倒壊・崩壊は免れる、すなわち中にいる人の命は守られる可能性が高いことを示しています。以上のように震度7級の大地震が発生した場合には、住宅の耐震性の有無が大きく明暗を分けることがここでわかります。
鉄筋コンクリート造の建物の被害状況
鉄筋コンクリート造のマンションの被害状況は下表【表4】の通りです。耐震性が高い(主に1981年以降の建物)場合は震度7でも「まれに傾くことはある」ものの倒壊・崩壊の恐れはなく、耐震性が低い建物では壁・梁・柱といった主要構造物に斜めやX状のひび割れが多くなり、1階あるいは中間階の柱が崩れることで倒壊・崩壊の可能性が高くなります。震度6強と7の違いは、主要構造部へのひび割れ・亀裂の入る部分の多さはもちろん、耐震性が低い建物では震度7で倒壊・崩壊の恐れが出てくることです。
耐震性が高い・低いの見分け方
木造戸建・マンション等の自宅の耐震性のチェック方法及び耐震性の低い建物の対処方法などは『首都直下「震度7」の可能性 自宅の耐震性は大丈夫?』で述べていますので参考にご覧ください。次のページでは、地盤・斜面等の状況やライフラインはどうなるか見てみましょう。