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大仏めぐりガイド(岐阜県編)(2ページ目)

個性派の大仏を紹介する大仏めぐりガイドの愛知県編に続く岐阜県編。登場するのは「籠大仏」に、日本唯一の個人名を冠した大仏様。名古屋から1時間足らずの場所に、意外や由緒のある大仏がひっそりと奉られていた!

大竹 敏之

執筆者:大竹 敏之

名古屋ガイド

立志伝中の偉人が立てた日本唯一(たぶん)の個人名大仏
■佐吉大仏

佐吉大仏

コンクリート製のお堂の中に鎮座する佐吉大仏

佐吉大仏

佐吉さんの生涯の絵巻も展示。貧しい農家に生まれながら、綿の仲買で成功。お客の言い値で売り買いすることで、お客から「佐吉さんに損をさせちゃならん」と信頼を得たという

岐阜の南東部に位置し、愛知県とも隣接する羽島市。ここに、江戸中期に立てられた大仏があることはほとんど知られていません。

羽島駅から徒歩1分の場所にありながら素通りする人がほとんど。筆者が初めて訪れた際も、すぐ近くで年配の方に道を尋ねたにもかかわらず、その存在をご存じありませんでした。

目立たない理由の第一は、お堂がコンクリート製の体育館のような建物であること。案内も、その入口に掲げられた小さな看板だけです。

 

佐吉大仏

最初のお堂は明治24年に濃尾大地震で倒壊・消失し、その後70年間は野ざらしだった。現在のお堂は昭和37年に再建されたもの

目立たない理由のその二は、不遇の歴史があったから。

建立者である永田佐吉さんは、18世紀初めに現在の羽島市に生まれた綿商人。稼いだお金で村に橋をかけるなどした善行の人で、大仏も母への感謝を表すために作ったものでした。“仏の佐吉”とも呼ばれ、二宮金次郎と並んで戦前は教科書にも必ず載っていた人物だったんです。

 

佐吉大仏

昭和11年に作成されたものを復刻したすごろく

ところが、戦後になって戦中戦前の国民教育が徹底的に否定され、そのあおりを受けて佐吉さんの名前も教科書から消え、いつしか地元でも忘れられた存在になってしまったのでした。

そんな状況を憂えて立ち上がったのが8代目にあたる永田章さん。数年前からお堂内をきれいに整備したり、佐吉すごろくの復刻版を制作したりと、佐吉さん再評価の活動を熱心に展開しています。

 

佐吉大仏

背中に扉があり胎内めぐりができる(!)。ただし永田さんがいらっしゃる時に限る

参拝は無料。高さは約5mとちょっと小ぶりで、やけに手が小さい独特のプロポーションですが、青銅製でなかなかリッパなお姿です。堂内は休憩用テーブルもあるサロンのような雰囲気で、ゆっくりと拝むことができます。

もしも章さんと会えたら、佐吉LOVEトークもノンストップで拝聴できますので、時間に余裕を見てお出かけすることをお薦めします。


□佐吉大仏
・ 所在地:岐阜県羽島市竹鼻町209
・ アクセス:名鉄羽島市役所前駅より徒歩1分
・ TEL058・391・5032
・ 時間:7時~19時(時間外の参拝は要予約)
・ 休:なし
・ 参拝料:無料
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