『おおきなかぶ』が愛され続けているのにはワケがある
おじいさんやおばあさんばかりでなく、いぬやねこ・ねずみといったちょっぴり頼りない登場人物までもが登場し、力を合わせてかぶを抜くお話といえば、もちろん『おおきなかぶ』ですね。この絵本は、1962年に『こどものとも』(福音館書店)で発表されて以来、50年以上もの間、子どもたちから絶大な支持を集め、今も変わらぬ人気を誇っています。近頃人気低迷といわれる昔話の中にあって、ロシアの昔話であるこの作品の人気が高いのはなぜでしょうか? 今回はお馴染みの『おおきなかぶ』が子どもたちに愛され続けている理由を考えます。
古臭くない昔話だから面白い!?
「むかしむかし、あるところに……」というのは昔話の決まり文句です。でも最近は、この始まり方を古臭いと感じる方もいらっしゃるようです。『おおきなかぶ』はロシアの昔話ですが、この決まり文句は使われていません。いきなり、「おじいさんが かぶを うえました」とお話が始まります。そのため、昔話を敬遠しがちな若い世代の方々もスムーズにお話に入り込むことができると言われます。
けれども、決してお話の導入部を軽んじているわけではありません。決まり文句を使わないかわりに、絵が物語の冒頭で大きな役割を果たしています。最初のページに描かれたおじいさんのロシアの農民らしい服装や靴、背景の家など見れば、説明をしなくても「むかしむかし、ロシアのあるところで、何かが起ころうとしている……」ということが自然とわかります。絵本ならではの見事な導入です。
ところが、昔話らしくないのはこの始まり方だけで、実は、物語自体は余計な説明やくどい描写を省いて出来事だけを語っていくという「昔話の手法」がとられています。それに加えて、繰り返しの面白さとハッピーエンドが待っている物語は、まるで口伝の昔話のような魅力にあふれているのです。古さを感じずに、昔話の醍醐味を味わえること、それが、この作品が愛される理由の1つではないでしょうか。
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