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3DSがPSVitaから奪ったもの(2ページ目)

発売日こそ好調にスタートしたPlayStationVita、しかしその後の販売は芳しくなく、現状ではかなり苦しい状況になっているようです。PSVitaは今どうなっているのか、なんで販売台数が伸びていかないのか、お話していきたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

人気タイトルが不足しているから売れない?

PSPの図

PSPの時のロンチタイトルはどうだったのでしょうか?

ハードが売れないということになると、人気タイトルの不足が原因というのが決まり文句です。広い意味では、PSVitaも同じことが言えます。ただし、これまでのPlayStation系ハードと比較して本体と同時に発売されたタイトルが弱いかと言えば決してそんなことはありません。

例えば、PSPの本体同時発売タイトルを挙げてみましょう。みんなのGOLF ポータブル、リッジレーサーズ、ヴァンパイア クロニクル ザ カオス タワー、麻雀格闘倶楽部、ルミネス -音と光の電飾パズル-、アーマード・コア フォーミュラフロントの6作。ついでに発売と同時に爆発的に売れたPlayStation2も例に出してみると、 リッジレーサーV、ストリートファイターEX3、drummania、決戦、A列車で行こう6、エターナルリング、ステッピングセクション、麻雀大会3 ミレニアムリーグ、森田将棋、柿木将棋4の10作。

対して、PSVitaの本体同時発売タイトルは、ダウンロードオンリータイトルを含めずパッケージ販売のタイトルのみでなんと20本。その中には定番のみんなのGOLF6やリッジレーサー、格闘ゲームにULTIMATE MARVEL VS.CAPCOM3、アクションには真・三国無双NEXT、さらにアンチャーテッド 地図なき冒険の始まりなど、全部はとても挙げきれませんが十分な役者が揃っています。

つまり、本体同時発売タイトルに問題があるわけではないのです。むしろ不安があるとすれば、これから発売されるタイトルかもしれません。

3DSが与えたダメージ

3DSとモンハン3Gの図

3DSでモンスターハンター3Gが発売というのは、PSVitaには痛恨のニュースでした。

PSVitaが売れるシナリオを考えてみると、まず1つは性能と価格の戦略。PSVitaは2つのモデルがあり、安い方のWiFiモデルは24,980円です。これが発表された時、Web上などで見られた多くの反応は安い、というものでした。比較対象はニンテンドー3DS(以下3DS)で、当時3DSが25,000円でしたから、3DSよりも高性能なのに3DSよりも安いというのがPSVitaが最初にいた立ち位置です。

もう1つのシナリオは、モンスターハンターポータブル(以下モンハンP)シリーズ。PSPの後継機なわけで、当然PSPで育ったモンハンPシリーズの続編が発売されるのではという期待感があります。

そしてこの両方が、発売を前にして3DSに潰されることとなります。3DSは8月に1万円の値下げをして本体価格を15,000円に改訂。さらに9月にはモンスターハンター3Gの発売を発表。この時点で3DSがPSVitaよりも1万円近くも安く、さらにモンスターハンターシリーズが遊べるハードというポジションを獲得します。

相対的に、PSVitaは携帯ハードにしては非常に高価なわりに、目玉タイトルがよく見えないという状況に陥りました。結果、コアなファンこそいち早く手にいれてくれたものの、その後がなかなか広がらないという展開に苦戦しています。

PSVitaは、なんとかしてこの状況を打破しなければいけません。
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