良い管理会社はオーナーへの提案が適切
提案力のある管理会社への信頼感
退去の理由や物件への不満について尋ねて慰留したとしても、実際には退去理由の大部分は入居者にとっても不可抗力の事情です。ですから多くの場合はそのまま退去、引越しとなります。その場合も管理会社がすべき仕事はたくさんあります。
まずはオーナーさんに解約の申し入れがあったことをその理由とともに報告し、賃貸借契約解除の申入書をきちんと文書の形でもらうことが必要です。解約の申し入れが正式にあると、入居者は契約書に定められた期間内に退去することになります。その間に管理会社は次の募集の準備をします。準備にあたっては、募集計画や賃料の設定をどうするか、リフォームの必要はあるかなどオーナーさんへの報告や提案は欠かせません。
賃料についても、「前の入居者の家賃は月6万円だったから、次回も同じ額にしましょうか」ではだめです。というのも前回の募集時から数年間を経ているわけで、その分、物件の築年数も増えていますし、周辺の賃貸市場の状況が以前と同じとは限らないからです。
前回の募集以降、近くに大型マンションができて同じ価格帯で競合するようになっているかもしれません。募集賃料の決定には市場がどうなっているのか、きちんとしたデータに基づいたマーケティングが毎回必要なのです。
そうした調査の時間まで考えると、退去があった場合、管理会社は一日も無駄にはできません。きちんと市場調査を行った上で、管理会社は空室をすみやかに埋めるため、オーナーさんに必要なアドバイスをします。
「競合が激しいので、値下げが必要になるかもしれません。毎月の家賃について2000円程度の価格交渉権を私どもにいただけませんか」、あるいは「前回の入居者さんが長期間お住まいになったので、ここは思い切って大きくリフォームして、家賃アップを狙いませんか」といった提案を行っていくのが、あるべき管理会社の姿です。
たとえば、これまでは必ず連帯保証人を求め、敷金と礼金も数ヶ月分ずついただいていた物件でも、築年数が経ったり近隣物件との競合が激しくなった場合には、前と同じ条件というわけにはいかないこともあります。
最近は家賃保証制度がありますから、必ずしも連帯保証人がいなくても大丈夫ですし、周辺の物件と差別化を図るために、あえて礼金ゼロを打ち出すといった発想も大事です。最近の首都圏でも、礼金は家賃1ヶ月分相当にまで減ってきています。礼金を無くすことで1ヶ月早く空室が埋まるなら、トータルの収入としては変わらない計算です。
良い管理会社とは、市場の状況に対応した提案を行い、空室によるオーナーさんの収入減を最小に抑える工夫をしてくれるところです。