純真な男の子を描いて読者の胸を打つ
第9位 『おこだでませんように』
家でも学校でも、何をしても、良かれと思ってすることまでも、お母さんや先生に怒られてしまう男の子がいます。もちろん怒られたくて怒られるわけじゃない。そんな彼にできることは、横を向いて何も言わずに怒られることだけ…… 表紙いっぱいに描かれた涙をこらえる男の子の横顔からは、怒られたくないという思いや、男の子の純真さがひしひしと伝わってきます。
2009年の読書感想文コンクールの課題図書として注目されたこの作品には、ガイドのもとにも「胸がじーんと熱くなった」「思わず涙がこぼれた」といった感想がたくさん寄せられています。けれども、その多くは子どもたちではなく読み手の大人たちから寄せられたものでした。それだけ大人の胸を打つこの絵本は、子どもたちよりも大人の方々にこそ読んでいただきたい作品です。
おそらく、絵本を読みながら、身につまされる方もいらっしゃるのではないでしょうか。大人の都合で子どもを叱る……よくないこととはわかっていても、ついつい声を荒げてしまった経験がガイドにもありました。そんなことを思い出しながら、主人公の気持ちに寄り添って読み進めると、親としての未熟な部分や、自分にとってどれほど子どもたちが大切な存在であるかなども気付かせてくれる絵本です。
絵本を読んだそのあとは、いつもよりちょっぴり優しいお母さん・お父さんになれるような気がします。
【書籍DATA】
くすのきしげのり:文 石井聖岳:絵
価格:1575円
出版社:小学館
推奨年齢:4歳くらいから
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