紳士靴のヒールのトップリフトで圧倒的多数を誇るのが、この形状です。今日の使用環境に求められるものを、必要十分に満たしているからでしょう。近年はここをちょっと小さ目になるようにヒール全体を纏める傾向にあるようです。銀座ヨシノヤの九分仕立て紳士靴等に見られる、内くるぶし側の前端を軽く面取りした意匠です。ボトムズの裾を引っかき傷から守る一工夫で、仕上げの最後の最後にまで気を抜かない日本の職人さんの心意気を感じさせてくれます。オールデンのモディファイドラストのヒールとしてお馴染みのフットバランスヒールは、所謂「トーマスヒール」の一種と申せます。この形状、イギリスのお医者さんが考案したものですが、今やアメリカの靴で圧倒的に多く見るような……前部に刳りを入れずに直線的に仕上げたヒールは、今日ではむしろ婦人靴のヒールで暫し見掛けます。もともとは乗馬の際に足を鐙に固定し易くするための意匠で、今日では婦人靴にしか付けられていない装飾的なヒールの起源を思い出させてくれます。この写真の記事を読む※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。