住宅の購入や建築、売却などをしたときの総仕上げが確定申告 |
ところが、ほとんどの人にとっては初めてで慣れないことばかりの確定申告。どうやって確定申告の手続きをすれば良いのか分からないという人も多いでしょう。
しかし、一つひとつ順を追って確定申告書類に記入をしていけば、意外と簡単にできる場合も少なくありません。さまざまな控除や特例を上手に使って、払い過ぎた税金はとり戻し、これから納める税金はできるだけ少なくしたいものです。住宅に関連する主な確定申告の概要をケースごとにまとめてみましたので、ぜひご自分で確定申告に挑戦してみてください。
具体的なケースでの適用可否や計算方法、住宅以外の確定申告などについては、税務署の担当者や税理士の先生などにご確認ください。
確定申告でトクをする人、確定申告が必要な人
□ | 2011年1月1日~12月31日までの間に住宅などの不動産を譲渡(売却)した人 | |
□ | 2011年1月1日~12月31日までの間に住宅ローンを借りて住宅の取得(購入・新築)、または増改築・リフォームをした人……(居住を開始した人) | |
□ | 2010年以前に住宅の取得などをした「住宅ローン控除」適用者で、年末調整による処理を選択していない人 | |
□ | 2011年1月1日~12月31日までの間に住宅ローンを借りずに長期優良住宅を取得した人……(居住を開始した人) | |
□ | 2011年1月1日~12月31日までの間に親などから住宅取得のための資金を贈与された人 | |
□ | 2011年1月1日~12月31日までの間に住宅の耐震改修工事を行なった人 | |
□ | 2011年1月1日~12月31日までの間に住宅のバリアフリー改修工事を行なった人 | |
□ | 2011年1月1日~12月31日までの間に住宅の省エネ改修工事を行なった人 |
住宅ローンの借入れや住宅取得資金の贈与などがなく、自己資金だけで住宅などを取得した人は確定申告が不要です。ただし、自己資金だけで長期優良住宅を取得した場合や、一定の耐震改修工事、バリアフリー改修工事または省エネ改修工事を行なった場合には、確定申告により所得税の控除を受けることができます。
また、住宅を譲渡して所得が生じた場合には、控除や特例の適用の有無にかかわらず確定申告が必要です。居住用財産以外の建物や土地などを譲渡して所得が生じた場合にも、もちろん確定申告をしなければなりません。
ちなみに、2011年度の税制改正により「確定申告書等をその提出期限までに提出しないことにより所得税を免れた者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとする」という、故意の申告書不提出による「ほ脱犯」が創設されました。住宅ローン控除など所得税の還付を受けるときには関係ありませんが、住宅など不動産を売却して所得税が課せられるときには十分な注意が必要です。
確定申告による所得税控除の種類など
□ | 住宅ローンを借りて、住宅を購入した人、住宅を新築した人、住宅の増改築やリフォームをした人・・・住宅ローン控除 | |
□ | 住宅ローンを借りずに、長期優良住宅を購入または新築した人・・・認定長期優良住宅新築等特別控除 | |
□ | 住宅取得資金の贈与を受けた人・・・相続時精算課税制度または贈与税の申告 | |
□ | 住宅を譲渡して利益があった人・・・3,000万円の特別控除 | |
□ | 住宅を譲渡して損失があった人・・・損益通算・繰越控除 | |
□ | 住宅を買換えた人・・・3,000万円の特別控除または買換えの特例 | |
□ | 住宅の耐震改修工事をした人・・・住宅耐震改修特別控除 | |
□ | 住宅のバリアフリー改修工事をした人・・・住宅のバリアフリー改修促進税制 | |
□ | 住宅の省エネ改修工事をした人・・・住宅の省エネ改修促進税制 |
なお、住宅を貸して家賃収入があった人は、損益通算制度を利用して所得税の還付または減額を受けることができます。また、災害や盗難などで一定の損害を受けた人は、雑損控除により所得税の還付を受けられる場合があります。
住宅ローン控除、認定長期優良住宅新築等特別控除、相続時精算課税制度、贈与税の申告については、≪住宅と確定申告 2012年3月版~購入のとき≫をご参照ください。
3,000万円の特別控除、損益通算・繰越控除、買換えの特例については、≪住宅と確定申告 2012年3月版~売却のとき≫をご参照ください。
住宅耐震改修特別控除、住宅のバリアフリー改修促進税制、住宅の省エネ改修促進税制については、≪住宅と確定申告 2012年3月版~改修のとき≫をご参照ください。
〔その他の主な控除〕
特定住宅地造成事業等のために譲渡した場合
(特別控除額1,500万円)
特定土地区画整理事業等のために譲渡した場合
(特別控除額2,000万円)
収用等により譲渡した場合
(特別控除額5,000万円)
≪確定申告の用紙、手引き、提出期間など…次ページへ≫