車を所有せず皆で共有するカーシェアリングが登場していますが、コンピュータの世界でも「所有」から「利用」へ時代が移りつつあります。最近、クラウドコンピューティングという言葉をよく聞きますが、導入のメリットや課題についてみていきましょう。

震災を機にクラウドコンピューティングが注目される

コンピュータの世界でも「所有」から「利用」へ時代が移りつつある

コンピュータの世界でも「所有」から「利用」へ時代が移りつつある

震災を機に多くの企業が認識したのがデータ管理の重要性。自社サーバーがやられてしまえば事業継続に多大な影響を与えます。遠隔地にバックアップを置き、天変地異が発生しても大丈夫なようデータを守らなければなりません。そこで注目をあびているのがクラウドコンピューティングです。

コンピュータ業界ではサービスを提供するネットワークの「あちら側」を雲(クラウド)を使ってあらわすことが多く、クラウドコンピューティングという名前が登場しました。ソフトやコンテンツをネットワークの「こちら側」(自社)ではなく、「あちら側」に置き、ネットワーク経由で利用するのが特徴です。

クラウドコンピューティングの身近な例としてアメブロやライブドアブログのようなブログサービス、グーグルプラスやフェイスブックのようなソーシャルネットワークがあります。以前はASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)と呼ばれていました。

クラウド普及の背景

スマートフォンの登場がクラウドコンピューティングをさらに推し進めている

スマートフォンの登場がクラウドコンピューティングをさらに推し進めている

データ管理の重要性以外にクラウド普及の背景の一つがネット回線の充実です。全国津々浦々にネットワークが張り巡らされ、ケーブルや光回線を使い安価な料金でブロードバンド通信ができるようになりました。今では新幹線でネット接続ができ機内ケータイも使えます。Wimaxなどモバイル・ルーターを外へ持ち出せば、ほとんどの場所でネット利用できます。

またスマートフォンの登場がクラウドコンピューティングをさらに推し進めています。スマートフォンは携帯電話の延長ではなくパソコンに電話機能をつけたもの。外へパソコンを持ち出しているのと同じです。

家と会社のパソコンを情報共有するにはDropboxなどクラウドサービスを利用し、ネットワークの「あちら側」にデータを置くのが一番簡単。特に大手企業は個人情報漏えい防止からパソコンにデータを残さないシンクライアント化が進んでおり、データはパソコン側になくサーバー側にあります。従業員にとってサーバーが自社にあるのかネットワークの「あちら側」にあるかの差でしかなく、データにアクセスする使い勝手はまったく同じです。

自社システムをクラウド化するにはPaaS、IaaSを活用する

自社システムをクラウド化するにはPaaS、IaaSを活用する

自社システムをクラウド化するにはPaaS、IaaSを活用する

クラウドコンピューティングには大きく分けて3つの種類があります。Gメールのようにアプリケーションをネットワーク経由で提供する形をSaaSと呼んでいます。「サース」または「サーズ」と発音し、一般的にクラウドコンピューティングというとSaaSを指します。

PaaS(パース)はネットワーク経由でプラットフォームを提供します。プラットフォームとは、アプリケーションを動かすための土台のことで開発ツールやOSなどから構成されています。リナックス用に開発されたアプリケーションはウィンドウズで動きませんが、これは土台(リナックスやウインドウズ)が違うからです。PaaSではアプリケーションが提供されませんので、自社独自のシステムをプラットフォーム上に作り上げます。

IaaS(イアース)はネットワーク経由でインフラストラクチャーを提供します。水、電気などと同じインフラ(基盤)です。PaaSとよく似ていますが、PaaSはハードウェア、OS、ミドルウェアがプラットフォームとしてセット提供されるのに対し、IaaSはハードウェアだけで、ハードウェアに乗せるOSやミドルウェアをユーザーが自由に選択できます。いわばPaaSはお店が提供するお仕着せのランチセット。IaaSはご飯以外のオカズを自由に選べる定食になります。