実感ないのが不安?妊娠の実感がわかないときは
妊娠11週の妊婦です。先日、母子手帳をもらってきましたが、これから出産して、母親になって子どもを育てるという実感が全然わいてきません。男の人は赤ちゃんが生まれるまでパパの実感がないと聞きますが、私も生まれるまでこんな風なのかと心配です。子どもはほしかったのですが、ちゃんと産めるのか、ちゃんと育てられるのか不安で仕方がありません。
妊娠をすれば母親になる実感がわいてくるわけではない
妊婦の自覚はあるけれど、出産への実感がわかない……
そうでしたか……、妊娠をされたけれど、母親になる実感がわいてこない。あなたは、そんな自分って少しかわっているのかな? 子どもが生まて、ちゃんと育てていけるのだろうかなと、不安に思っているのかもしれませんね。
大丈夫です、安心していいですよ。それは、女性であるからと言って、妊娠をすれば母親になる実感がすぐにわいてくるわけではないからです。特に、今は、昔と違って、妊娠かなと思ったら、薬局で妊娠反応検査薬を1000円やそこらで買えばすぐにわかってしまう。そして、病院に行けば、超音波検査で赤ちゃんがつつまれる嚢(胎嚢)や、生理が2週間も遅れれば、赤ちゃんの心拍が見えてきてきます。
嬉しいニュースですが、赤ちゃんを身体で感じとる前に、自分は妊娠しているんだということが、先に情報として頭から入ってきて、妊娠したんだから、あれはダメ、これもダメとなってしまいがちです。そんな状況もあってか、妊娠自体を実感できない女性が多くなっているのではと感じています。
実感ない・あるに関わらず母親になってゆくプロセスが大切
余談ですが、昔(かなり昔ですが)は生物学的妊娠反応といって、妊娠の可能性のある女性のおしっこをウサギやマウスに注射して、数日後に解剖をして、卵巣の変化を調べて妊娠の判定をしていました。命が授かっているかを調べるために、ひとつの命が犠牲になっていたんです。もっと昔は、妊娠と正式に診断され、周囲にお披露目するのはお腹が少しふっくらとしてくる妊娠の5ヶ月でした。5ヶ月の戌の日の親族が集まり安産を願う帯祝の習慣は今でも残っていますよね。赤とんぼの歌詞に、「15でねえやあは嫁に行き~」とありますが、10代後半で子どもを身籠り母親になっていた時代がありました。そんな若い女性が妊娠するのですから、母親になる実感は乏しかったのではないかと思うんです。ただ、帯祝をはじめてとして、コミュニティーには、娘が母になってゆくしくみが備わっていました。
今は、早く妊娠がわかって、便利になったのはいいかもしれないけれど、ちょっとお手軽すぎない?と、思ったりもします。妊娠しているのかどうなのか、子どもが来てくれているのかどうなのかを、気をもんでいる時間は不安でしょうが、妊娠を受け入れる心の準備時間として意味があると思うからです。しかも、妊娠をしても、昔のように女性が母親になってゆくプロセスを支える「しくみ」も社会からは消えてきています。
その時の自分の気持ちを大切にして受け入れてゆきましょう
こうして相談をしてくれたあなたですから、望まぬ妊娠ではないのでしょう。今は妊娠初期でつわりが辛いので、妊娠したことを素直に喜べていないかもしれません。しばらく仕事や趣味に打ち込もうと思っていたり、夫婦ふたりの時間をもう少し楽しみたいと思っていた矢先に妊娠がわかったので、まだ妊娠を受け入れられてないからかもしれません。ただ、理由はどうであれ、特に思い当たる節がないとしても、「まだ自分には母親になる実感がない」と感じている、今のあなたの気持を大切にしてください。あなたには母性が欠けているのではありません。もう少しお腹がでてきて、体型がかわってきて、実際に胎動を感じるようになり、確かに自分の中に赤ちゃんが来てくれていると、わが子の存在を身体で感じ取れるようになるのと、感じ方がかわってくるかもしれません。
さらにお腹が大きくなって、パートナーにお腹を触ってもらいながら、将来のことを漠然と話したりすることで、違ってくるかもしれません。もし、その時になっても実感がわいてこないとしたら? それでも大丈夫です。時には、赤ちゃんを産んでも、まだ実感がわかないという方もいるのです。それでも、あなたはあなたのままでいいのです。だからどうすればいい?と、対策を考える必要はないし、まして、他の人と比較することもないのです。そう、自分の気持ちを偽りながら無理に頑張る必要はないのです。
大切なことは、どんな時でも、その時の自分の素直な感情や気持ちを受け入れながら、日々、自分にできることをしながら毎日を過ごしてゆくことです。できれば、そんなあなたのそのままの気持ちを、いいことでも、悪いことでも、出せることができる時や場があれば、さらにいいと思います。
次第に、実感がないとか、あるとかを意識しなくなってくることでしょう。きっと、大丈夫です。今のまま、そのままのあなたでいいと思います。
ちなみに、僕には4人の子がいますが、こんな仕事をしているにもかかわらず、自分が父親だなって実感したのは、長男が生まれ8ヶ月が過ぎた頃、ハイハイができるようになった息子が、遠くから自分のところへ近寄ってきてくれた時でした。熱いものがこみあげてきて、涙があふれてきたことを思い出します。
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