なぜ「ゲーム」を繰り返してしまうのか?
「やっぱりダメ」という信念から逃れられない
自分自身への肯定感が薄く、充実感を持った経験が非常に少ない人は、自分や他人に対する否定的な感情の方に深くなじんでいます。自己否定感の強い人は「自分はダメだ」という信念、他者否定感の強い人は、「自分は正しく、相手が悪い」という信念、自他否定感の強い人は、「自分も相手も、ろくなものではない」という信念を持っているのです。
その信念を他人と会話のやりとりで確認することによって、「自分の信念が間違えていないと証明したい」という思いがあります。また、否定的であっても他人とコミュニケートすることで孤独感から逃れられます。なじみのある否定的な会話を交すことで、充実した時間を過ごすことができるのです。
「ゲーム」に乗らない方法、シャットアウトする方法
居酒屋は今日も「ゲーマー」がとぐろを巻く
したがって話しかけられた側は、相手のゲームに乗せられないように注意する必要があります。
それには、まず冷静になり、会話の流れを見極めることです。同情や同調をしてしまうと、ゲームの罠にはまりっぱなしです。イライラして怒りをぶつけると、「ほらやっぱり(自分は)(相手が)ダメなんだ」と、一気に否定的な「結末」に持ち込まれてしまいます。
ゲームに乗らないためには、「どうしてそう思うの?」「あなた自身はどうしたいの?」「なぜそうなったの?」というように、論理的な応答で対応するのがいい方法です。聞き手が毅然と対応することで、ゲームは行き詰っていくからです。
また、うまくゲームをシャットアウトするのもいい方法です。時間無制限でゲームを続けていると、存分にゲームにつき合わされ、あげくは「結末」に持ち込まれてしまいます。それを防ぐためには、自分からゲームを終わりにしなければなりません。
たとえば、「う~ん。私にはよくわかんないなぁ。ごめんなさ~い」というように、真剣にとりあわない。「そろそろ電車の時間だから、もう帰らなきゃ」というように、会話の途中で退場してしまう。「そうだ! 先週、あの映画観にいったんですよね。どうでした?」というように、会話をすり換える。このように、いろいろな方法でゲームを終わらせるよう、試みてみましょう。
自他肯定感があればゲームは仕掛けない
幼少期からの強い否定感も意志で変えることができる
しかし、「自分のままでいい」「自分も他者も信頼できる」という実感を得られないままで生きていると、自己否定感、他者否定感、自他否定感がゆがんだ信念となって、心の中に住み続けてしまいます。
すると、他人との何気ない会話をゲームにすり替え、ゆがんだ信念を再確認しながら、他人と関わろうとしてしまうのです。「信念」になった強い否定感を変えるのは容易ではありませんが、意志さえあれば可能です。興味のある方は、「交流分析」という心理学関連の書物を紐解いてみるといいでしょう。