老後の資金準備は手取り減少の中、より多く必要になる
老後の資金準備についても考えてみます。実はより大変なのは老後資金準備です。老後の実際の家計に影響するより問題は深刻かもしれません。構図としてはこうです。まず、年収は変わらないとすれば消費税増の分、買い物できる分が減ります。仮に老後のための貯金をしていればそのしわよせが生活に直結しますし、生活を優先すれば老後のための貯金は一気に頓挫することになります。
計算してみましょう。40歳代の会社員の家計をモデルに取り上げてみます(総務省「家計調査」より2人以上の勤労者世帯)。
毎月43.0万円の家計のうち、所得税や社会保険料が10.2万円で、実際の消費に回している金額が32.8万円となっています。このうち5%の消費税に相当するのは、15600円くらいです(実際の消費が312400円)。今でも実はけっこう消費税を払っているものです。
もし、消費税が10%になり、所得は増えないとすれば、29800円くらい消費税を払い、実際の買い物に回せる金額は298200円くらいになります。こちらは14000円くらい買い物額が減っています。これだけでもちょっと大変な話です。
さらにこの14000円をどうやりくりするかで話が変化してきます。直接生活に支障を与えることは困るので、毎月の貯金額を14000円減らした場合です。
仮に45歳として、残り15年のあいだ、14000円の貯金を断念した影響はなんと252万円にもなります。この間に年率3%くらいで増やせたとすれば、318万円くらいに成長する可能性もある財産です。
そうなると、老後の生活維持には本来240万円上積みすべきなのに(前ページで試算した数字)、老後の財産は318万円減ることになるわけです。ダブルで苦しむことになります。
本当は、消費税がアップしたら積立を断念するべきではなく、それどころか増額したいくらいなのです。
消費税が上がったら、今まで以上に真剣に家計に向き合おう
消費税増のインパクトを5%アップの10%になった場合の状況変化について述べてきました。私は消費税増に反対するわけではなく、むしろ引き上げを容認する立場ですが(理由は年金生活者に負担をお願いする方法が他にないため)、このインパクトは無視できない大きなものだということは声を大にして述べたいと思います。消費税がもし上がったら、今まで以上にしっかり家計を管理していく必要が高まるでしょう。ざっくり見積もっても、毎月1万円以上家計の節制を考えなければいけません。先ほども述べたとおり、老後のための貯金はできれば減らさず、むしろ増額を目指したいところです。
節約や上手な消費の工夫については、アンテナを張り巡らし、またムダな消費を避け、満足度の高い買い物ができるよう、知恵を巡らす必要がありそうです。
AllAboutにもたくさんのマネーコラムがありますので(私もいろいろ書いてます!)、家計と向き合うヒントを探してみてくださいね。