ラオスの聖なる古都ルアン・パバン(ルアンパバーン、ルアンプラバン)
ワット・シェントーンの本堂。緩やかなカーブを描く切妻屋根が幾重にも折り重なる姿が神々しい。屋根の端から飛び出しているのはチョーファーと呼ばれる聖なる屋根飾り ©牧哲雄
今回はラオスの精神的象徴でもある世界遺産「ルアン・パバンの町」を紹介する。
ルアン・パバンの温かい朝
朝の托鉢風景。ルアン・パバンの名物ともいわれる風景だが、実はラオスのいずれの都市でも早朝にはこのような托鉢が行われている
プーシーと呼ばれる丘から見たルアン・パバンの町とカーン川。緑が美しい素朴な街並み ?牧哲雄
朝6時。お寺の鐘に誘われて街に出てみると、カーン川沿いの深い緑の上に白い太陽が昇り、家々からは朝食の湯気が立っている。道路を見れば、街の人々が小さな敷物を敷き、脇にカゴを置いてちょこんと腰をおろしている。
学校に登校する子ども僧 ©牧哲雄
先ほどの一団が行ったかと思うと、今度はさらに大人数の一団が向かってくる。そしてまた人々は無心に用意したものを配る。ルアン・パバンの朝のごくごく日常の光景だ。
川沿いにはこんな高床式の家々も ©牧哲雄
喜捨の心は「人に幸せになってほしい」という利他の心。だから人々は旅人にもとてもやさしいし、仏を信じているから世の中の欲にも執着せず、とても大らかに暮らしている。
ルアン・パバンの人々のまん中にはいまも「仏」がしっかり座を占めていて、人は仏の習慣を通して他の人と深く結びついている。人々を見ていると、もしかしたら本当に大切なのは信仰そのものではなく、仏を通してできあがるこの温かな結びつきなのではないかと思えてくる。