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「火災保険のしくみ」勘違いランキング(2ページ目)

火災共済と火災保険はどう違う?地震保険と火災保険って似たようなもの?生命保険と火災保険の仕組みは同じ?意外に知らない火災保険の≪しくみ≫について、カン違いポイントを確認してみましょう。

清水 香

執筆者:清水 香

火災保険の選び方ガイド

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第4位「地震保険も、火災保険と同じような仕組みでしょ?」

地震のカバーは、地震保険と火災共済でも異なる

地震のカバーは、地震保険と火災共済でも異なる

わが国の陸地面積は、全世界のわずか0.3%。ところが、世界の地震のおよそ2割が日本列島近辺で発生していまです。

1964年の新潟地震を契機に、1966年「地震保険に関する法律」が制定され、地震保険が誕生しました。保険会社だけでなく、政府も法律に基づいて保険金の支払義務を負う官民一体の制度。だから地震保険は他の保険とは大きく異なっているのです。

そもそも、国が保険金の支払い義務を負うとはいえ、地震災害は発生頻度や被害規模が想定しづらく、保険金の支払いがどのくらいになるかもわからないので、契約には種々の制限が設けられています。

地震保険の契約は居住用建物・生活用家財に限られ、契約金額も火災保険金額の30%~50%の範囲内、かつ建物は5000万円、家財は1000万円までが上限。さらに、1回の地震で政府や保険会社が支払う保険金の総額に、上限額が設定されています。

上限額は2017年4月現在、11.3兆円。そのためこの金額を超える地震保険金の請求があった場合には、支払うべき保険金総額に対する保険金総支払限度額の割合で、1件当たりの契約で支払われる地震保険金は削減される可能性があります。財務省によれば、11.3兆円という金額は、関東大震災級の巨大地震が発生しても保険金の支払に問題が起きないレベルとされています。

そして、地震保険金は私たちの支払った保険料が積み立てられた責任準備金から支払われます。契約者が支払う地震保険料のうち、契約上の必要経費(代理店手数料その他)を除いた額とその運用益のすべてを、責任準備金として積み立て続けることを、政府および保険会社に義務付けられており、将来の保険金の支払いに備えて、コツコツと保険料が積み立てられています。

将来、もし責任準備金を超える支払いが生じた場合でも、政府は補正予算を組むことで、保険会社は政府や銀行への借入れなどで資金調達をすることによって、一旦資金を立て替え、地震保険金が支払われます。法律による定めがあるわけですから、11.3兆円までは資金的な裏付けがあるものと考えていいでしょう。

【お役立ちコンテンツ】
■「地震保険金の支払いには上限がある
 

第5位「火災保険と生命保険、どちらもしくみは同じでしょ?」

生命保険の目的は、残された家族の生活の”保障”。残された家族は、本人の死亡によって保険証券に記載された通りの保険金を受け取ることができます。つまり「保険金額=支払われる保険金」ということです。

一方、火災保険は災害などで建物(または家財)が被った損害を“補償”、すなわち損失分を穴埋めするのがその目的であり、受け取れる保険金は、損害額により決まります。たとえば、3000万円の保険金額でも、火事で被った損害(たとえば、発生する修繕費など)が2000万円なら、支払われる保険金は2000万円であり、これ以上の保険金は支払われません。火災保険の言うところの保険金額、この場合の3000万円は生命保険と異なり「保険金額=支払われる保険金の上限」ということです。

ただし、保険金の上限は、原則として私たちが自由に決められるものではありません。建物の構造などから決まる現時点での「建物の価値」が、保険金額とイコールになるように設定するのが火災保険の基本ルール。

さらに、時間の流れとともに建物の価値は変わるので、5年ごとぐらいに保険会社や代理店に、火災保険で設定すべき建物価値を評価し直してもらうといいでしょう。

【お役立ちコンテンツ】
■「火災保険と生命保険を比較してみると……

 

自分の住まいや家財がカバーできる保険を選ぶのが大事

火災保険と火災共済は、住まいや家財の災害による被害をカバーする点は同じですが、どれに加入するのか、あるいはどのような契約をするかにより、カバーされる内容は異なります。ときに甚大な被害を及ぼす地震や水害については、どこまでカバーされるのか、事前のチェックが欠かせません。たとえば、持家で住宅ローンの残債が相当額ある場合には、手厚いカバーが必要になる一方、借家である程度の貯蓄があるなら保険による備えの必要性は相対的に薄くなります。

同じ火災保険でも契約期間や住所、建物構造により保険料は異なります。損失を穴埋めすることが目的なので、契約後の見直しが欠かせないものでもあります。また、地震保険は国が関与する特殊な保険であり、火災保険とは異なる仕組みを持つことも知っておきましょう。

わが家の場合はどうなのか、火災保険の仕組みを知り、上手に商品を選ぶことが大切なのです。

【関連リンク】
「火災保険金額の設定方法」勘違いランキング
「住宅取得時の火災保険」勘違いランキング
「火災保険、出る?出ない?」勘違いランキング

火災保険と火災共済、どう違う?
火災保険は長期契約がトク?
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