メディア戦略からの解放
PS3発売当初は、Blu-ray Disc対HD DVDという対立構造がありました。
PlayStation2(以下PS2)はDVDを、PlayStation3(以下PS3)はBlu-ray Disc(以下BD)を、そしてPSPはUMDを普及させる目論見がありました。DVDとBDは現在ゲームのみならず、映像ソフトの販売用、あるいは家庭での記録用などに使われていますが、UMDに関してはPSPのゲームメディアとして以外にはほとんど普及しませんでした。そもそも、回転メディアをポータブル機器に使うということ自体が、時代遅れになりつつあります。
この流れの中でPSVitaのメディアはどうなったかと言うと、PlayStationVitaカードと呼ばれるフラッシュメモリベースのカードになりました。つまり、PSVitaはソニーのメディア戦略から解放されたハードということになります。
PSVitaはポケットに入らない
小さくって、メディアレスで、内蔵メモリに色々入れ、より情報端末的方向性を模索したPSPgo
実際、PSVitaはスマートフォンに対抗する為のハードだという論調もあります。そういう目でPSVitaを見てみると、3G搭載モデルがあったり、ビデオや音楽が鑑賞できたり、ソーシャルネットワークとの連携が強化されていたりと、要素としてはスマートフォンと被る部分が多いのも確かです。しかし、全体的に見て、PSVitaはかなりゲーム機としての完成度を優先して作られています。
大きさを見ても、PSPより大きくなり、ポケットの中に入るサイズではなく、それよりもゲーム操作性や画面の大きさを優先させています。マイクもあって音声通話も可能ではありますが、Skypeなどのサービスを利用した限定的なものです。すごく簡単に言ってしまえば、スマートフォンというか、携帯電話の代わりになるようなものでありません。むしろ、スマートフォンなどに対して、ゲームハードとしての強みで差別化した商品と言えるでしょう。
ポケットに入る情報端末的な方向性は、かつてPSPgoというハードで挑戦したことがありました。メディアを捨てて小ささを追求し、内蔵メモリにゲームを含めた色んなデータを格納できるPSPの別バージョンです。しかしPSPgoはあまり売れず、そのせいかはわかりませんが、PSVitaはスマートフォンに近くなるというよりは、時代の流れを感じながら様々な機能を取り入れつつも、あくまでゲームマシンとして発展させたような作りになっています。
では一体、PSVitaは何がしたいハードなのでしょう?