パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

アーネカフェとジージョベーカリー(2ページ目)

行列のできる人気店、阿佐ヶ谷ベーグルの姉妹が2年前に店をクローズ、まもなく新高円寺で素敵なベーカリーカフェをオープンしていました。大量生産できるパンではなく、だからといってフランスのアルチザンブレッドとも違う。これまでの日本になかったベーカリーの新しいスタイルが市民権を得てきています。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

アーネカフェ

2Fから1Fの売り場とカフェスペースを見下ろす

2Fから1Fの売り場とカフェスペースを見下ろす


地元のお客さんの多いアーネカフェ。麻紀さんとお話しながらパンを楽しみたい常連客はだいたい1Fの小さなテーブル席に座っていますが、大きなテーブルとカウンター席のあるカフェスペースが、奥の階段を上がった2Fにあります。

「ニューヨークやサンフランシスコの素敵なカフェやベーカリーには、女性オーナーの店が多いんですよね」。

そもそも二人は、そんな店にパワーをもらって開業したのだそうで、当時を振り返って麻紀さんは言います。「外国人のわたしたちでも、フレンドリーに受け入れてくれる、下町みたいな温かさ、優しさに感激しました。そういうものが日本からなくなってきている時期だったからとくにそう感じたんでしょうね。今はここで地元の人たちのコミュニティになりたいんです」。

年配の男性客も多く、外国の話、映画や絵画の話をしたりして、ひととき過ごしていくのだとか。「以前の店、”ベーグル”のときからそうだったのですが、同じ顔に会えるってお互い大切なこと。そういうことに支えられていると感じています」。

ボイルチキンとチーズ、ロースト野菜、ドライトマトのイルサンド(600円)

ボイルチキンとチーズ、ロースト野菜、ドライトマトのイルサンド(600円)


本棚には使い込まれたMOOSEWOOD やCHEZ PANISSEの料理本。20年ほど前、日本ではまだ珍しかったグリル野菜のサンドイッチや豆のペースト、ハーブやスパイスをきかせたスープなど、料理のセンスをこういう本で磨いた人も多かったと思いますが、麻紀さんもその一人でした。

サンドイッチで一番のおすすめは、イルサンド。ボイルしたチキンとマリボーチーズ、ローストしたズッキーニや茄子に甘酸っぱいドライトマトをアクセントにして挟んでから焼いた、出来たてです。コーヒーはシェルパ、紅茶はテテリア。シンプルだけれどおいしいものがここにはたくさんあります。
左上から時計回りに、宮本麻紀さん、サワーマフィンとミルクティー、 さまざまな塩、2Fのカフェスペース

左上から時計回りに、宮本麻紀さん、サワーマフィンとミルクティー、 さまざまな塩、2Fのカフェスペース


焼き菓子でわたしが気に入ったのはサワーマフィンとレモンケーキ。
サワーマフィンはサワークリームがたっぷり使われています。バナナとリンゴ入りでざっくりと焼かれたナチュラルなアメリカンタイプ。甘く繊細なカップケーキとは一線を画します。レモンケーキはレモンの酸味と甘いアイシングが絶妙のバランスです。

カフェのテーブルにはさまざまな国のこだわりの塩やオイルが置かれています。フロマージュブランやポーチトエッグに、あるいはパンに、好きに楽しめるようになっています。

次のページではジージョベーカリーのパンをご紹介します。
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