非24時間睡眠覚醒症候群の原因
体内時計と外界の時間がずれると、いろいろな障害が起こります
体内時計と地球の昼夜の周期をシンクロさせる機能が壊れると、起床や就寝の時刻が毎日30分~1時間ずつ遅れていきます。このような睡眠障害を、体内時計が24時間の周期から外れてしまったという意味で、「非24時間睡眠覚醒症候群」といいます。また、体内時計が外界からの影響を受けずに暴走していることから、「概日リズム睡眠障害-自由継続型(非同調型)」とも呼びます。
非24時間睡眠覚醒症候群の患者さんの多くは、全盲の方です。目が見えないと光が体内時計に達しないため、体内時計と外界の周期を合わせることができないからです。少数の視覚障害がない患者さんでは、光の感受性が高すぎるため、夜に明るい光を浴びると体内時計が遅いほうへ遅れやすいことや、体内時計の周期がほかの人より長いことが原因ではないか、と考えられています。
非24時間睡眠覚醒症候群の症状
眠気や倦怠感、集中力の低下などで、仕事がはかどらなくなります
昼夜に関係なく自由に生活できれば問題はないでしょうが、社会生活を営む上では大きな支障が出ます。非24時間睡眠覚醒症候群の人が無理に外界の時刻に合わせて生活すると、眠気のほかに頭痛や注意力低下、集中力の持続困難、倦怠感、易疲労感、食欲不振などが現れます。そのため、慢性疲労症候群と診断されたり、学校や会社に行けなくなってしまうこともあります。
ある程度の期間、非24時間睡眠覚醒症候群が続くと、多くの患者さんがうつ状態になります。これは、昼間に会社や学校へ行けず、社会生活ができなくなることへのストレスのほか、日光に当たる時間が短くなることや、体内時計がうまく働かないことも原因だと考えられています。
非24時間睡眠覚醒症候群の治療法
メラトニンは個人輸入できますが、安全のため使用の際には医師の指示を受けましょう
医療機関で行う治療として、まず、メラトニンの内服があります。メラトニンは脳の松果体から分泌される物質で、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。朝に光を浴びてから14~16時間たつと増え、その1~2時間後に眠くなってきます。
メラトニン療法の効果は高いのですが、まだ確定した治療法ではありません。そのため、メラトニンの量や飲む時刻は、担当の医師と相談ながら決めていきます。これまでの研究では、メラトニン0.1~5mgを夕方~夜に飲むと、効果がでやすいことが分かっています。
メラトニン療法と同時に、強い光を浴びる「高照度光療法」が行われることがあります。高照度光療法では朝に1時間ほど、2,500~1万ルクスの強い光のもとで過ごします。高照度照明器具は、卓上型なら4万円ほどで買えます。
【関連サイト】
睡眠のメカニズムとリズム
昼夜逆転・睡眠時間帯の異常
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