「和菓子を作る-職人の世界-」展 限定菓子
「虎屋文庫資料展」といえば、限定菓子。今回は、型などを使わず、職人の手ごしらえで作る「玉柏(たまがしわ)」という生菓子です。白餡を包んだ緑色の羊羹製(「こなし」とも。餡に小麦粉などを混ぜて蒸したもの)の三方にすじを入れ、窪みを付けて、紅色のそぼろを置いたもの。菓銘(菓子の名)の由来とされるのは「玉堅磐」(たまがしわ:水中にある固い岩)。菓銘から想像を膨らませると、この意匠は、藻の茂る水中の岩を表しているのだ、と気が付きます。五感が刺激される、和菓子ならではの楽しみ方です。
「とらや」のお菓子の配合や製法は「少し甘く、少し硬く、後味よく」。「玉柏」の食感もまさにそれ。希少な白小豆の風味は奥ゆかしく上品で、「とらや」らしい生菓子です。
今回はもう一品、通常は1本で販売する赤坂本店限定の羊羹「千里の風(せんりのかぜ)」が、展示期間中(~11/6まで)のみ、1人前ずつにカットした形で購入可能。風を切って走る虎を思わせる、斬新な意匠が印象的です。
よく煉られた羊羹ならではの、深みのある艶と、黒文字に感じるずっしりとした弾力。引き込まれるような魅惑的な甘さを持つ、「とらや」独特の羊羹です。その味が気になっていた方は、この機会をお見逃しなく。
赤坂本店「虎屋菓寮」の「季節の昼膳」
赤坂本店の地下1階にある「虎屋菓寮」。入ってすぐの場所に飾られているのは、草月流の生け花。贅沢で落ち着きのある空間が魅力です。昨年5月からはじめた「季節の昼膳」。「虎屋菓寮」の赤坂本店・銀座店・帝国ホテル店で、平日と土曜日のお昼にのみ楽しめます。
お料理とお椀を作るのは老舗料亭「金田中」。赤飯(6~9月は煎り青大豆ご飯)と甘味は「とらや」のものです。「東をどり」を通じて親交があったことから実現したという、贅沢な昼食です。嬉しいことに甘味は、あんみつのほか、お汁粉、かき氷(夏季のみ)、生菓子からも選べます。
お料理は、「とらや」の赤飯(6~9月は煎り青大豆ご飯)に合うよう作られた特製。「金田中」を訪ねても、同じものを食べることはできません。お料理の内容は量より質。一見ボリュームたっぷりですが、決して多過ぎるということはありませんので、ぜひ一度お試しを。
通常、虎屋菓寮は席の予約ができませんが、「季節の昼膳」に限り、予約が可能です。ちなみに各店舗の数量は限られているため、予約がおすすめです。
赤坂本店は「とらや」らしさが存分に堪能できる場所。1階は、重厚感ある雰囲気の中、羊羹や生菓子を購入できる店舗。地下1階は、静かな空間でお食事や甘味を楽しめる菓寮。2階は、期間限定ではありますが、和菓子を学び、目で味わえる虎屋ギャラリー。
パリ店や東京ミッドタウン店、TORAYA CAFÉなど、伝統を守るだけではなく新しいことにも挑戦し続ける「とらや」。そんな中で、変わらずどっしりと構える軸のような存在が、赤坂本店のように感じます。
<店舗情報>
■とらや
◇所在地:東京都港区赤坂4-9-22
(1階「とらや 赤坂本店」、地下1階「虎屋菓寮 赤坂本店」 TEL:03-3408-4121)
(虎屋文庫資料展は、2階「虎屋ギャラリー」にて開催 TEL:03-3408-2402)
◇営業時間:1階店舗8:30~19:00(平日)~18:00(土・日・祝日)
地下1階虎屋菓寮11:00~18:30(平日L.O.18:00)~17:30(土・日・祝日L.O.17:00)
2階虎屋ギャラリー:10:00~17:30(第74回「和菓子を作る-職人の世界-」展2011年9月28日~11月6日)
◇アクセス:東京メトロ銀座線・丸の内線赤坂見附駅より徒歩約7分
◇地図:Yahoo!地図情報