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杉(スギ)の木を理解して家を建てる(2ページ目)

日本は世界第二位の森林率を誇っています。さまざまな樹種がたくさんありますが、最も身近で誰でも知っているのが「杉」です。今回は改めて木の魅力、その中でもスギについて理解を深めて家づくりに活かしていきましょう。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

家を建てるガイド

地域材を使う 

スギの木口。中心の色の濃い部分を心材(赤身)、まわりの色の薄い部分を辺材(白太)という。

スギの木口。中心の色の濃い部分を心材(赤身)、まわりの色の薄い部分を辺材(白太)という。

スギは日本中にあるもののひろい気候分布に対応してスギにも地域ごとに特性があります。その特性を良く理解して使うことで木の魅力はさらに空間に潤いを与えてくれます。

<主な代表的産地の杉材>
・秋田杉
年輪が均一で美しい木目と優美な色と香り、さらに特有の淡紅色を持っています。建具や腰壁などの内装材に使うとよい。

・天竜杉
日本の杉の中でも最も強い強度があり、気にも艶があり長期の水湿にも耐えます。柱や梁などの構造材に使われます。特に芯材を持った柱などは抜群の耐久性があります。

・吉野杉
吉野杉は天竜杉と並んで人工の三大美林のひとつで、もう1つは尾鷲(おわせ)のヒノキです。年輪の幅が狭く節もなくきれいな目をしています。和室の柱などに使われると実に美しい。

・北山杉
床柱に使われることが多い。一般に磨き丸太と言われ杉の木の皮を向いた丸太で滑らかな表面をしている。丁寧に手をかけて使えるのは30年から40年は掛かります。

・その他
近年床材に使われている宮崎県の飫肥杉(おびすぎ)は銘木化粧造作材としてみると秋田杉や吉野杉と比較されるとあまり評価は高く有りません。しかし、肥大成長が盛んであることから年輪幅は狭く緻密さでは他の地域にさほどヒケは取りません。したがって梁にも使用され、シロアリにも強い材です。当然のように木材地震ものその地域、環境で生き抜くための知恵を有しているのです。

近年の家には香りが少ない 

現代の家づくりは一般的に人間の持つ五感を量と効率化に売り渡した感じがします。その反省からか各社とも健康住宅や天然住宅といったキャッチフレーズで家づくりをしています。しかし、実際その空間に入って残念なのは、木の香りがしないことです。本来は時間を掛けて天然乾燥をするのですが、時間がかかるのと木にひび割れなどのクレームが怖いので人工乾燥してしまうのです。これは家をつくる側ばかりでなく本物の木を大事に使うならば、建て主ももっと時間を掛けて楽しむことも大切なのです。私たちは見えるものはわかりやすい、そしてそれに価値を求めがちです。しかし、五感を通して私たちは今こそ見えないものへの価値を大切にしなければなりません。
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