栄養管理/乳児・幼児・子供の栄養管理

幼児の食事の量と栄養バランス【管理栄養士が解説】

いつまでも子供の食パターンに合わせた食事作りをしていませんか? 2歳、3歳~5歳あたりまでの幼児は何をどれくらいの量食べればいいのか、食事や間食のアイデアも併せてご紹介します。偏食の予防・改善のコツもぜひ活用してください。

一政 晶子

執筆者:一政 晶子

管理栄養士・米国登録栄養士(RD) / 栄養管理・療養食ガイド

今回は、幼児が何をどれくらい食べればいいのかをご紹介します。これを読めば今日からの食事や間食の準備がラクになるはずです。基本的には子供が大人の食事に合わせていくのがコツ。いつまでも子供の食パターンに合わせる必要はありません!

1. 食事のバランス:基本的にバランスは大人と同じ

食事

基本的に大人と同じ食事を!

幼児のために特別な食事を作らないようにしましょう。食事の準備が大変なだけではなく、偏食の原因になる可能性があります。辛いものや特殊なものを除いて、幼児にも大人と同じ食事を与えるべきです。

塩分が高いものなど、子供に食べさせたくないと思うものは食卓から省くか、回数を減らしてしましょう。子供によくないと親が思っているものは、親自身の健康にもよくないものが多いのです。

成人と幼児の食事バランスの主な違いは、トータルの食事量(カロリー)とたんぱく質です。下記の2)で説明している食事量を参考にすればすんなり調整できるはずです。親の食事のバランスが取れている場合は、子供の食事バランスを心配する必要はありません。親の食事バランスが分からないという場合は、成人向けバランスガイドを参考にして下さい。

2. 食事の量:食事は大人の半分強くらいの量 + 間食1~2回

幼児は体の大きさの割に多くのカロリーが必要。例えば3~5歳くらいの子だと1日に1200~1400カロリーくらいが目安です。

分かりやすい例として、小柄な成人女性と幼児の必要栄養量を比較してみましょう。必要なカロリーとたんぱく質は幼児の方がやや少なめですが、脂質は同じくらい必要。炭水化物は幼児の方が少し多めに必要です。

幼児の食事の量は、大人の食事の半分強くらいが目安です。あくまでもおおよその目安であって、2歳ならぐっと少量かもしれませんし、6歳ならば大人と同じ量くらい食べるかもしれません。何と言っても、必要な栄養量は子供の活動量に左右されます。

たくさん食べたがれば制限する必要はありませんし、あまり食べなくても順調に成長していれば心配する必要はありません。幼児は大人のようにがっつりと肉や魚などを食べたがらないこともありますが、多くのカロリーが必要な割には必要とするたんぱく質は少なめなので心配しなくて大丈夫でしょう。

間食には、乳製品、豆乳製品、果物、ミニおにぎり、パンなど1~2回ほど与えます。もちろんプリンやクッキーなど、いわゆる「おやつ」を適量与えても構いません。食事で肉や魚を好まない子の場合は、間食でたんぱく質が豊富なチーズやヨーグルトなどの乳製品、ピーナツバターや大豆菓子などの豆・ナッツ類を与えるなど工夫もできます。間食は栄養の補給源として幼児には大切なものです。

ごはん

ごはんの時間にお話したいことがいっぱい!

食事は親の半分より少し多いくらいで、間食で炭水化物の多い果物やパン、場合によってはたんぱく質の多い食材を加えれば、自然に幼児に必要な栄養素を摂取することができるでしょう。

■ 食事の例:1
  • 朝食:ホットケーキ、豆乳、ヨーグルト
  • 午前中の間食:果物
  • 昼食:刻み野菜と卵&ハム入りチャーハン、果物
  • 午後の間食:チーズとレーズンパン
  • 夕食:野菜たっぷりひき肉のトマトソーススパゲティー、サラダ

■ 食事の例:2
  • 朝食:ごはん、豆腐と野菜のみそ汁、卵焼き
  • 午前中の間食:果物
  • 昼食:野菜と豚肉入り焼きそば
  • 午後の間食:ヨーグルト
  • 夕食:ごはん、ハンバーグ、スープ、温野菜のサラダ

3.飲み物は水かお茶

ジュース、炭酸飲料水、スポーツドリンクなどは家に常備しないようにしましょう。水やお茶は常に飲めるように準備。十分な水分摂取は体を潤し便秘なども防ぎます。甘いものを飲むことに慣れると、水やお茶では満足できないようになります。

私は100%果汁ジュースであっても、クッキーなどのおやつと同等の物として扱っています。おやつで時々ジュースを使ったり、週末の朝食にオレンジジュースを与えるなど、日々の習慣にならない程度に楽しみます。

100%果汁ジュースであっても、栄養的には砂糖水を飲んでいるのと大して代わりません。なにより、甘くない飲み物が飲めない大人になる可能性があります。実際、大人の清涼飲料水の飲み過ぎが問題になっています。日頃から甘いドリンクを飲んでいる成人が、水やお茶へ切り替えるのは難しいのが現実です。子供の時からやっかいな癖が付かないように気をつけてあげましょう。

4. 食事を食べないときは見守ってみよう

食欲があまりなさそうで食事をしないときは静かに見守ってみましょう。食べることを強要すると、食卓が親と子の意地の張り合いの場になってしまうこともあります。ただ、食事をしないからといって、子供の好きなお菓子などをあげないようにしましょう。

食べないことを心配して、ついついスナック菓子やアイスクリームなどをあげてしまう親がいるようですが、子供は食事をしなければ甘いものが貰えると学習してしまいます。私の子供も入院中に、ご飯を食べなければ甘い物が貰えることに慣れ、その状況から元の食生活にに戻すのに時間が掛かった記憶があります。

すでに癖になっている場合は、思い切ってお菓子の常備をゼロにしてみましょう。無ければどうしようもありませんので、子供もいずれ諦めるはずです。子供は親が思っている以上に賢いので気をつけましょう。いろいろ上手くいかなくても、子供もいずれは親と同じような習慣が付くはずです。

5. 食事とおやつの時間はしっかり決めて区別する

食事とおやつをしっかり分けることはとても大切です。時間と食べる場所をしっかり決めることで、子供もどれが「食事」でどれが「おやつ」なのかをちゃんと学ぶ事ができます。一見当たり前のようですが、最近では大人でも、食事の時間にケーキやクッキーなどの甘いものを食べたり、スナック菓子やジュースで済ませるなど、「食事」の時間に「おやつ」を食べる人が増えてきています。

「食事」と「おやつ」の区別ができないだけではなく、テレビやパソコンの前などで食べる人も増えてきています。「食事」はたんぱく質やビタミン・ミネラル、食物繊維などの大切な栄養素を摂取する時間であると同時に、家族や地域の食文化や伝統を少しずつ学び、人とのコミュニケーションを学んだりする場でもあります。

おいしい

どんな味かな~

6. 子供と一緒に準備をする

子供と一緒にスーパーに行って野菜や果物などを一緒に選びましょう。食べ物を見ながら季節の話をしたりすると食事に興味もでるはずです。親も食べたことが無いような食材に興味を示すこともあるはずです。

親も慣れない食材に一緒にチャレンジすることで、子供がどのような気持ちで星の数ほどある食材といつも付き合っているのか気持ちが分かちあえるはず。買ってきた野菜を洗ってもらったり、皿への盛り付けを手伝ってもらいましょう。一緒に買い物に行ったり、料理の準備をすると時間が掛かりますが子供にとっては楽しくて大切な学習の時間になるでしょう。

子供と一緒に食を楽しみましょう!
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