ゲイと家族の関係を描き、感動を呼び起こしました
世間一般の人たちが全員、こうした(派手に女装した)ゲイに対していきなり諸手を挙げて好意を示すということは考えにくいので、この芝居にも「ゲイに対する嫌悪感(ホモフォビア)」を表現するシーンが出てきます。中には「おかまのくせに!」という強烈なセリフも飛び出します…。でも、そんなひどいセリフを放つ人にもレッキとした理由があるということが、だんだん明らかになっていきます。
このセリフには、長年、ゲイを白い目で見たり嘲笑したりいじめてきた世間の、その風当たりのつらさをいやというほど感じてきた人の心からの叫びが込められています。本当は自分だって家族にゲイであることを理解してほしい、ありのままの自分を受け容れてほしい…でもなかなかうまくいかないのです。
キホン華やかなドタバタ劇ですので、あまりシリアスな場面はなく、このセリフを言うシーンが「効く」というか、ズシンと観客に響く、そういう重みを与えられていたように感じました。このセリフこそが芝居の中でいちばん大事だとみんなが思っていたんじゃないでしょうか。そんな作り手側の「思い」が感じられて、後からジワジワきました。