絵本/おすすめロングセラー絵本

怖いのに何度も読みたい傑作絵本(2ページ目)

精神科医の優しい父親が我が子のために描いた『もじゃもじゃペーター』。この作品に対しては、その強烈な内容に対する批判もありますが、今回は子どもと同じ目線でお話を読み、強烈さの中に含まれる独特のユーモアを楽しんでみましょう。

執筆者:大橋 悦子

怖さの中にユーモアを含む『もじゃもじゃペーター』

飯野和好の『もじゃもじゃペーター』

絶版となるも、熱烈なファンの後押しで復刊した『もじゃもじゃペーター』


生野&飯野作品の登場により、読者はこの作品を「現実感のないユーモアが持ち味のナンセンス絵本」として受け入れやすくなりました。決して日本人向けにアレンジされたわけではありませんが、ポップなイラストとリズミカルで軽やかな邦訳により、作品の持つ残酷な一面が薄まって、読者の抵抗感が軽減されたように思います。

それでは、ここで飯野作品を通して『もじゃもじゃペーター』の魅力を考えてみましょう。まずは、飯野和好さんの絵をじっくりご覧下さい。

描かれているものの大きさが、驚きや恐怖といった読者の感情の大きさに比例していることにお気付きでしょうか? 例えば、指しゃぶり少年の指を切りに来る仕立て屋のハサミは、どうみても2メートル近い大きさで描かれます。あり得ない! そんな大きなハサミで、少年の親指を切り取ることなどできませんものね。

飯野さんの『もじゃもじゃペーター』では、写実的に対象を描くのではなく、対象物に読者の感情を投影させているようです。ハサミの例で言えば 「ハサミ」に対する子どもたちの恐怖心を2メートルという大きさで表現しているということです。この作品では、大人の見方とは違う世界、言い換えれば、子どもたちが普段認識している世界が、そのまま絵本に表現されているのではないでしょうか。


>> 次は、「子どもたちが、なぜこの怖い作品を喜ぶのか」を考えます
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