中古住宅・中古一戸建て/中古住宅の購入術

中古一戸建て購入~中古物件見学のポイント

中古一戸建て住宅は、物件によって条件が大きく異なります。築年数によって購入の前提条件が違い、比較検討が難しくなることも少なくありません。中古一戸建ての見学をするときに注意すべきポイントなどについてまとめてみました。(2017年改訂版、初出:2011年7月)

執筆者:平野 雅之


新築分譲マンションや、ある程度の規模以上で分譲される新築一戸建て住宅(建売住宅)であれば、インターネットや住宅情報誌にかなり細かな情報が掲載されているでしょう。

しかし、中古住宅の場合には最小限の物件概要などしか分からず、実際に現地を見学しなければ具体的なイメージがわかないことも少なくありません。

今回は、中古一戸建て住宅の見学をする際に気を付けたいポイントなどについてまとめてみましたので、これから物件探しを始めようとするときにはぜひ参考にして下さい。


常に冷静さを保つことが大切

営業担当者

相手のペースに乗せられて不本意な決断をしないように!

中古物件選びの基礎知識≫ でも説明したとおり、中古物件の場合には媒介業者を通して購入の契約をするケースが大半です。媒介業者は、あなたが買ってくれなければ媒介手数料の収入を得ることができません。

そのため、担当者はあの手この手を尽くして、あなたがその気になるように仕向けてきます。

以前は一般的にみられた強引な営業は次第に影を潜めつつありますが、それでも営業の目的自体が変わったわけではなく、さまざまな演出や心理作戦が繰り広げられることもあるでしょう。

あなたが最後の決断を迷っているときにそっと背中を押してくれる優しい担当者もいれば、少し強引に誘導しようとする担当者もいます。このとき、相手のペースに乗せられて不本意な決断をすることがないように、常に冷静さを保ち、自分が納得のできる判断をすることが大切です。

それが心配なときには、物件探しを始めるよりも前に、「親身になって相談に乗ってくれる担当者探し」を優先したほうが良いケースもあります。

それはさておき、中古住宅を見学するときには自分から見たいと依頼した物件だけではなく、似たようないくつかの物件を案内されるケースも多いでしょう。

複数の異なる物件を見学することによって、比較検討が容易になる反面で、見せられる数が多過ぎるとどれがどの物件だったのか分からなくなることも起こりがちです。

もちろん人によって異なりますが、いっぺんに見てそれぞれの違いをしっかりと意識できるのはせいぜい3~5物件程度でしょう。それ以上の物件をまとめて見ると記憶が混乱したり、疲れから判断力や注意力が鈍ってきたりします。

一度に見せられた物件の数が多いときほど冷静になることを心掛けるのと同時に、その場で結論を出したり媒介業者に対して購入の言質を与えたりしないように気をつけなければなりません。


物件の現地へは電車、バス、徒歩で行く

最近はだいぶ少なくなってきたようですが、いつもどんなときでも必ず一家揃って車で現れる家族がいらっしゃいます。

ご主人は「常に車だから」とか「車がちゃんと入るかチェックしたい」とか、いろいろと理由はあるでしょうが、物件見学の際にはできるかぎり最寄り駅まで電車で行き、徒歩やバスで現地へ向かっていただきたいものです。

家族全員が常に車で移動して誰も電車には乗らない、というケースはほとんどないでしょう。普段の買い物や通勤通学などで、家族のうち誰かは最寄り駅まで歩いたり電車やバスに乗ったりすることが多いはずです。

電車の様子がどうなのか、駅前の雰囲気や利便性はどうなのか、駅からの徒歩時間が実際にどれくらいなのか、途中に危険個所や子どもに悪影響を及ぼすような施設がないのか、バス便はどうなのかなど、物件選択の一要素としてしっかりと観察するべきです。

物件自体がどれほど優れていても、その「街自体」に気に入らない要素があれば、落ち着いて暮らすことはできません。

車庫への入れやすさのチェックや、車での順路の確認は、購入候補物件を絞り込んでからでも遅くないのです。

最寄り駅から物件まで歩いてみることも「購入候補物件を絞り込んでからでいいじゃないか」と考える人もいるでしょうが、住む街についての要素はもっと優先順位を上げて検討してみるべきでしょう。

もちろん購入候補物件を絞り込んだ段階では、物件から最寄り駅までの道のりだけではなく、近くのスーパーや病院までの道路、子どもの通学路、日常の生活圏の道路や環境などについても、しっかり歩いて自分の目で(子どもの視線も意識しながら)確かめてみるべきです。

なお、媒介業者の車に乗せられていくつも物件を見て回ったときに、もし購入候補にすることができそうな物件があれば、最後にその物件の前に戻って降ろしてもらい、逆に物件現地から最寄り駅まで歩いてみても構いません。

「お客様を会社にお連れして戻るのが決まりですから」となかなか承諾をしない担当者もいるでしょうが、それは上司を交えて購入の決断を迫るための手段でもあるのです。


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