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ゲーム実況はゲーム業界の敵か味方か(2ページ目)

インターネットの普及により、誰でも気軽に動画がWeb上で発表できるようになると、ゲームの新しい楽しみ方として、ゲーム実況という文化が生まれました。ゲーム実況はユーザーにゲームの新しい楽しみ方をもたらしましたが、大きな問題も抱えています。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

ネタバレ動画

ゴーストトリックの図

逆転裁判やゴーストトリックなどのアドベンチャーゲームにとってのネタバレは、ゲームを台無しにしてしまいます。

風来のシレンシリーズは、ダンジョンがランダム生成され、プレイするごとに違うゲーム体験が訪れるのが大変に奥深いゲームです。ですから、ガイドがクリアした動画を観たからといって、参考にはなるかもしれませんが、まったく同じようにゲームすることは不可能ですし、プレイする人によってその人なりのゲーム体験が訪れます。そういう意味で、ゲーム実況との相性が非常に良いゲームです。

一方で、ゲーム実況なんてしてもらっては困る、というふうにメーカーが考えるゲームもあります。代表格はアドベンチャーゲームでしょう。例えば、逆転裁判のゲーム実況をしたとすればどうでしょう。殺人の手口も、犯人の嘘も、驚きの展開も、全てバレてしまします。いわゆるネタバレですね。

その動画を見ることによって、ゲームをプレイする価値が失われてしまうような、特に、発売日直後にストーリーを公開してしまうような動画はメーカーにとっては悩みの種でしかありません。

モヤモヤした状況

アイドルマスターの図

アイドルマスターは、ユーザーが動画をアップしたことで大いに盛り上がりが起きたタイトルの1つと言えるかもしれません。

ネタバレ云々にかかわらず、前提として、ユーザーがゲームの動画を勝手にWeb上で発表することは著作権の侵害にあたります。実際、メーカーからの指摘によって、動画投稿サイトの運営者が動画を削除するという場面も珍しくはありません。しかし一方で、メーカーが明確なアクションをとらず、事実上の黙認という形をとることもかなり多いのというのが現状です。

メーカからしても、表立って認めることはしないまでも、ファン活動的な側面やゲームの認知向上といった効果を考えて、実はいっそ動画で盛り上がって欲しいとい考えている、なんて場合もあります。実際、ニコニコ動画などで盛り上がっていることをセールストークに使うゲームメーカーの営業さんというのも、実は時々いるんですね。

また、本当は歓迎していないけども、1つ1つの動画を特定して、削除請求をしていくのが手間である、それ自体がコストであるというように考える場合もあります。結局のところ、メーカーがはっきりとアクションをとればいつでも削除されてしまうようなものでありながら、ユーザーの思惑と、メーカーの思惑が微妙に交差する、モヤモヤッとしたグレーな範囲の中でゲーム実況というのは成り立っています。

しかし、そのモヤモヤっとした範囲をはっきりさせて、ユーザーによる投稿動画を盛り上げる施策を打ち出すメーカーも出始めました。
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