絵本/絵本人気ランキング

2011年上半期絵本人気ランキング(8ページ目)

ネット通販サイトAmazon.co.jp から、「2011年 上半期Booksランキング」が発表されました。ランキング入りした絵本は、本棚にそろえておきたいおすすめ作品ばかり。そこで、各絵本のイラストレーターにスポットを当てながら、ランクインした人気の絵本をご紹介します。

執筆者:大橋 悦子

第3位 かくれんぼだけじゃない仕掛けを楽しむ
『きんぎょが にげた』

きんぎょがにげた

かくれんぼで楽しんだ後は、「物語」にも目を向けてもう一度楽しめる絵本


かくれんぼ絵本として、あまりに有名で、「紹介するまでもないだろう」とお考えの方もいらっしゃるでしょうが、五味太郎さんの仕掛けが、きんぎょを探すことだけにあるとお考えなら、この本を半分しか楽しんでいないことになるかもしれません。

もちろん、この作品は「かくれんぼ」と同じ遊びの世界を表現していますが、仕掛けはそれだけではありません。この作品には、小さな子どもたちにもわかる「物語」が隠されています。よーく注意してページを追ってみましょう。一人ぼっちのきんぎょが、金魚鉢から逃げ出すところから、お話は始まります。カーテンの陰やお菓子入れなど、様々なところに隠れては逃げるを繰り返すきんぎょ。小さなきんぎょにとっては、これは冒険にも等しいものですね。そして最後にたどり着くのは、友だちかあるいは母親か、いずれにしても居心地の良い場所のようです。

単純ではありますが、これも「行きて帰りし物語」の構成をきちんと踏んでいることにお気付きでしょうか? しかも、小さい読者が、繰り返しかくれんぼを楽しんだ後で、「あれ、このきんぎょ、どうして逃げているんだろう?」と考えたときに初めて、物語の仕掛けが動き出すという仕組み。見事ですね。

400冊以上の絵本を生み出すと同時に、ワークショップなどを通して、子どもたちの力を信じ、その力を無理なく引き出すような活動を続けていらっしゃる五味さんならではの仕掛け絵本です。


【書籍DATA】
きんぎょが にげた (五味太郎:文/絵)
価格:840円(税込)
出版社:福音館書店
推奨年齢: よんであげるなら2歳から
購入はこちらから


>> 次は、小さい女の子を描けば日本一といわれるあの女性作家の絵本
  • 前のページへ
  • 1
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます