連綿と受け継がれてきた革新の歴史
ヨハンセン・セバスチャンの時代、19世紀半ばの鉛筆。中心部をくり抜いた木軸の中に四角い棒状の黒鉛を固定した後、角を取って丸くしていた
1795年にフランスの技術者によって黒鉛と粘土を混ぜる製陶加工が開発されるとニュルンベルクの伝統的鉛筆作りが不況の危機を迎えたが、フリードリッヒの曾孫にあたるパウルス・ステッドラーが新しい製造方法を模索、開発し、ニュルンベルクの代表的な技巧の新たな躍進の土台を築きあげた。
産業革命が本格化するとパウルスの息子であるヨハン・セバスチャン・ステッドラーがJ.S.ステッドラー社を設立。黒鉛や粘土とは別に天然色素を利用し、色鉛筆を作り出した。そして会社は発展を遂げ、1870年頃にはヨーロッパ各国だけでなく東洋にも販売網を広げていった。
その後、財政難や戦争などの危機を乗り越えるとさらに拡大。「月(LUNA)」と「ラクダ(CAMEL)」のトレードマークは世界中で知られる存在まで成長。さらに、現在でも高品質のマークとして知られる「マルス(ローマ軍神)」は1900年に登録。洗練されたマルス・ブルーはブランドイメージのひとつにもなった。また1929年には、新しいブランド「トラディション(伝統)」も追加している。
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