丸善・日本橋店が再オープン

丸善・日本橋店
外観も一新して新しく生まれ変わった丸善・日本橋店
丸善の創業は日本橋と思われるかもしれないが、実は横浜が創業の地で、今からさかぼること138年前の明治2年のことである。その翌年、日本橋(現在の場所)にも店舗を構え、それ以降、創業の地横浜より丸善を代表する店舗として多くのファンに愛され続けている。

その丸善・日本橋店が2年半に及ぶ充電期間を経て、3月9日に生まれ変わって再オープンした。

地下1階から地上3階までの4フロアに1000坪という広大な売場面積を持つ。書籍売場が650坪、文具売場が250坪、その他ギャラリーやカフェなどが100坪という構成。文具売場は改装前と同じ地下1階になっており、往年の丸善ファンへの配慮が感じられる。さらに1階のセレクション売場にも文具が販売されている。

 

丸善・日本橋店
地下1階の文具売場には万年筆をはじめ、
こだわりステーショナリーが並ぶ

今回の日本橋店の文具売場を一言で表わすなら、これまでの丸善・日本橋店の伝統や良さを活かしながらも、新しさもしっかりと織り交ぜられているということだ。新しいと言っても流行に迎合するのではなく、丸善らしい大人の男性をとらえたこだわりステーショナリーが選りすぐられていた。言わば、大人の男のための正統派文房具店といった感じだ。
 

 

丸善・日本橋店
一見目立たない什器のトップには
手の込んだ装飾が施されている
店舗のコンセプトは、
「The First MARUZEN」。丸善が創業以来こだわってきた世界の文化や情報を日本に伝えるという、その原点に立ち返り今回の売場作りが行われている。また、「First」には、もうひとつ「First Class」という意味も込められている。内装には、白い壁にダークブラウンの柱や什器が配置され、さながらホテルの中のショップのようだ。

では、早速地下1階の万年筆売場からご案内させていただくことにしよう。
 

居心地のよい万年筆コーナー

 

丸善・日本橋店
丸善の既存店の中でも最大級を誇る万年筆売り場

エスカレーターで地下1階に降りて右側に目をうつすと、たっぷりとしたスペースをとった至福の万年筆売場が広がっている。えてして万年筆売場と言うと、横一直線のカウンター式になっていることが多い。しかし、この売場では、カウンターが口の字型になっている。

以前ご紹介した丸善ラゾーナ川崎店では、カウンターひとつひとつが独立して点在させる方式がとられていたが、今回もやはり新たな試みになっていた。万年筆を眺める時は、ざっと端から端まで見て、もう一度気になるものを見直すと言うことが私自身多い。横一直線カウンタータイプだと、行ったり来たりを繰り返さなければならない。今回のような口の字型であれば、ぐるりと回っても、再びはじめのカウンターに戻るので、心行くまで品定めができそうだ。
 
丸善・日本橋店
奥行きもたっぷりとられたショーケースには
各ブランドの万年筆がずらりと並べられている
 

 

丸善・日本橋店
気になる1本が見つかったら、
座って試し書きができる
カウンターの一角には座って試し書きできる机と椅子も用意されている。万年筆は座って書くものだから、試し書きといえど、いつもと同じ座った姿勢で試せるのは大変ありがたい。

その口の字型のカウンターの奥には、限定品コーナーが用意されている。ひと際上質なつくりになっており、各ブランドの限定品などが、まるで美術館のようにきれいに展示されている。

 

丸善・日本橋店
万年筆売り場の奥に構えられた限定品コーナー

今回の丸善・日本橋店のオープンを記念して2本の丸善オリジナルの限定ペンが発売されていた。1つは「New Century」万年筆だ。
 
丸善・日本橋店
丸善オリジナル万年筆「New Century」
52,500円 300本限定。シリアルNo.入り

もともと丸善では2001年から「Century」というシリーズ名でオリジナル万年筆をいくつか発売してきた。今回のものは、その最新版となる。丸善のコーポレートカラーである落ち着いたブルーをベースに天冠など要所要所にスターリングシルバーをあしらったデザインが特長だ。このブルーは半永久的に退色しないチタン加工を施すというこだわりぶり。ペン同様、ボディの美しさも末永く愉しんで欲しいということなのだろう。
 
丸善・日本橋店
ズシリとした心地よい重みだけを頼りに
書くことができる

丸善の万年筆と言えば、同社初のオリジナル万年筆、アテナを思い浮かべる方も多いと思う。このNew CenturyにもそのアテナのDNAはしっかりと受け継がれている。ボディにはブリリアント・ウェーブと呼ばれる波模様が刻まれ、そして、ペン先にはアテナの名前の由来ともなったギリシャ神話の知の神の刻印もある。往年のアテナ万年筆ファンにはたまらない一本となることだろう。ボディカラーにあわせてブレンドされたエターナルブルーのボトルインクも付属される。

 

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21金のペン先には創業年の1869年と
アテナの神が刻印されている
万年筆のボディカラーに合わせた
オリジナルボトルインクも付属。

もう1つは、檸檬のボールペンである。

 

丸善・日本橋店
丸善オリジナルボールペン「檸檬」
14,490円 500本限定

梶井基次郎の小説「檸檬」の中で、丸善のお店に果物の檸檬を置くというくだりがあり、そのストーリーをもとに丸善130周年記念モデルとして1989年に檸檬の万年筆が発売された。最近では雑誌ラピタが作ったミニ檸檬万年筆が記憶に新しいと思う。今回は、より普段使いが楽しめるようにボールペンタイプになっている。まさに檸檬のような清清しい黄色のボディーカラーはしっかりと健在だ。

この他にもうひとつ面白い限定物を見つけた。

 

丸善・日本橋店
丸善・日本橋店開店記念「ペリカンボックス」
スーベレーンM800と様々なこだわりアイテムがセットになっている。
138,000円

「丸善・日本橋店開店記念 ペリカンボックス」だ。ペリカン スーベレーンM800を一人悦に入りながら堪能できるセットになっている。セットには、万年筆M800が1本、デスクスタンド、本革製ボトルインクホルダー(インク付き)、ペンケース、そして、ペリカンファンならたまらないゴールドのペリカンをモチーフにしたペンホルダーという贅沢な内容になっている。もともとは店舗ディスプレイ用のセットなのだが、一部のお客様からのご要望にお応えして、今回販売することになったと言う。
 

こだわり文具と実用文具が程よくミックス

 

丸善・日本橋店
万年筆売り場と同じ色調に統一された一般文具売り場

 

丸善・日本橋店
オフィスで使うファイルなどの定番文具も揃う
万年筆売場のすぐ隣は一般の文具売場につながっている。平日の日本橋はオフィス街という顔も持っているので、ビジネスの場で使われる定番文具も欠かすことはできない。限られた売場の中に、定番文具がギュッと凝縮されていた。

その合間を縫うようにこだわりのあるステーショナリーが散りばめられている。いわゆるデザインステーショナリーとはひと味違う、大人のおめがねにかなうものが選りすぐられている。その1つにトンボのデザインコレクションのショーケースがあった。デザインコレクションは、今や多くのショップでも販売されている。しかし、今回の日本橋店では、日本で発売されていないレアモデルが販売されていた。

 

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Zoom858(水性ボールペン)4,200円
ヨーロッパのデザイン賞
「レッドドット」も受賞している
Object万年筆 6,300円
マット調に仕上げられたアルミボディ

例えば「エッグ」というモデルがそうだ。その名前のとおり玉子のようなインパクトあるボディデザインが特徴。一時期、日本でも発売されていたが、現在では海外のみの販売になっていた。また、オブジェクトシリーズの万年筆もあった。これは、私が知る限りでは海外のみで展開されているものだ。こうした日本ではなかなか手に入らないものがさりげなく並んでいるところが、個人的にはとてもうれしかった。

丸善・日本橋店はこだわりを持つ従来の主要顧客層の期待に応えるため、カラフルなものよりも、むしろ、落ち着いたステーショナリーがしっかりとセレクトされていた。例えば製本職人による手づくりノートやメモなどで定評のあるみすず堂の和のテイストの文具や、ベルギー王室などで愛用されているクラウンミルのレターパッド、イタリア製のガラスペンなどが並べられていた。

 

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イタリアから取り寄せた小さいガラスペン、ブロッター、インクボトルのセット
ベルギー王室御用達のオリジナルクラウンミルのレターパッド類

そうした大人のデザインステーショナリー系の中で、私自身はじめて知った商品があった。モリス デザインのステーショナリーだ。このブランドは19世紀イギリスで活躍した工芸デザイナー、ウイリアム・モリス氏のデザインによるもの。

いずれの商品にも自然界の動植物をモチーフに落ち着いたグリーンを基調にした目に優しい模様が描かれている。実はこの表紙には、住宅用の壁紙が使われているのだそうだ。手に触るとわかるのだが、表面には模様が凹凸で描かれており、独特な風合いを持っている。

 

丸善・日本橋店
表紙に壁紙を使ったノート。
目で見るだけでなく、手触りも愉しめる

このほか、丸善オリジナルの便箋コーナーも設けられていた。丸善らしい歴史を感じさせるものが日本橋店には特に多く見受けられた。

 

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クラシカルな表紙の丸善オリジナルの便箋。
今見てもハイカラだ。
 

男心をくすぐる雑貨コーナー

 

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1階フロアのセレクション売り場

1階の売場一角には40~50代の男性客でひと際にぎわっているコーナーがあった。セレクション売り場である。以前の日本橋店では、文具売場と同じ地下1階にあったが、今回は独立して1階に設けられていた。

ここには、ジャンルを問わず男心をくすぐる小道具系が所狭しと並んでいた。ソーシャルステーショナリー、アーミーナイフ、革小物をはじめ、オーダーできる傘やステッキなどもあった。男のこだわり小道具を探すにはもってこいの空間だ。

 

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イギリス レザースミス
レザーをまとったデスクアクセサリー
ベルギー クラウンミル
ピュアコットンのステーショナリー

 

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スペイン エルカスコ
美しく磨き上げられた鉛筆削り、ステープラーなど
フランス ラトリエ・デ・チェイルリー
牛革を上質に仕上げたノート類
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ニューヨーク ジャク・ザグーリー
ユニークなスタイルのペンスタンド
イタリア サルディ社の
各種ガラスペン
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ドイツ エッシェンバッハ
超薄型ライト付きルーペ 6,300円
スイス ヴィクトリノックス社と宝飾ブランドBonfort社のコラボによるホワイトゴールド製USBメモリ「スイスメモリー・プレステージ Croco」
504,000円
丸善・日本橋店 丸善・日本橋店
丸善オリジナルメモホルダー
2,940円
クラシカルなノートとペンが付属
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ステッキも取り揃えているところが
日本橋店ならではだ
パターンオーダーの紳士傘
手元の素材、骨の本数、生地などを選ぶことができる。14,000円~。

インターネットで、ほとんどのものが買える時代になった今、店に足を運んで買う楽しさというものを今一度堪能させてくれる、そんな雰囲気が今回の日本橋には満ちているように感じられた。居心地のよい空間、世界中から集められた商品との新たな出会いなど、マウスをクリックするだけで済んでしまう買い物とは違う愉しみを存分に味あわせてくれる。
 
丸善・日本橋店
丸善・日本橋店
東京都中央区日本橋2-3-10
営業時間:午前9:30~午後8:30
休業日:1月1日(364日営業)
アクセス:東京メトロ、都営地下鉄「日本橋駅」B3出口直結
TEL:03-6214-2001

<関連リンク>
丸善・日本橋店オフィシャルサイト
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