パン/パン屋さん取材レポート(東日本)

いのいちベーカリー【三鷹台】

吉祥寺、井の頭公園にほど近い三鷹台駅前に、かわいいパン屋さんが出現しました。フランスパンの老舗出身の二人が運営する小さなお店の中にはハード系のパンにブリオッシュ、ふわふわのミルクロールからお総菜パンまで並んでいます。

清水 美穂子

執筆者:清水 美穂子

パンガイド

いのいちベーカリー

京王井の頭線三鷹台駅前、オレンジの丸い看板が目印。

京王井の頭線三鷹台駅前、オレンジの丸い看板が目印。

京王井の頭線三鷹台駅前にこの5月、かわいいパン屋さんが出現しました。
オレンジ色の丸い看板が目を引いて、足を止めて中を覗き込む人も少なくないこのお店は「いのいちベーカリー」。地名からつけた名前だそうです。そう、ここは井の頭1丁目、川沿いを少し歩けば井の頭公園の緑が広がります。
神田恵一郎さん、仁美さん

神田恵一郎さん、仁美さん

パンを作っているのはドンク出身の神田恵一郎さんと奥さまの仁美さん。
11時のオープンからお昼ごろまでに、40種類近いパンが焼きあがるそばから並べられていきます。それに伴いお客さんが次々に訪れて、店の外まで行列になることもあります。それはパンが売り切れる17時半か18時まで続きます。

パン屋さんやお菓子屋さんという商売は、どうしても出てしまうロスが悩みの種ですが、「捨てることがどうしてもできないんです」と神田さんは言います。
「だから閉店間際に来られたお客さまに、もうないの?と聞かれると辛いけれど、自分たちで作ることができる量だけ、作っていきます」
ショウケースの中はブリオッシュやクリームパンなどスイートなパンが並ぶ

ショウケースの中はブリオッシュやクリームパンなどスイートなパンが並ぶ

神田さんはパン職人になるずっと前、八百屋さんでアルバイトをした経験から日常の食べものを扱う仕事に関心を持ったそうです。
その後にとった栄養士の知識は、パンの素材や製法に活かされています。

たとえば食感をやわらかくする成分として卵を使うところ、卵が食べられない人のために豆乳を使ったり、酵素の観点から発酵のメカニズムを考えたり。あらかじめ粉と水を合わせて置くオートリーズの時間を長くをとったバゲットは、見た目はごくオーソドックスな様子をしているけれども固すぎず、こんがりと香ばしいのです。

それをよく知る方でしょう、オープンと同時に扉を開けて現れた年配の常連客に次々に売れていくのです。
ピリ辛ソーセージにグリッシーニを巻いた「チョリソ」(120円)

ピリ辛ソーセージにグリッシーニを巻いた「チョリソ」(120円)


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