ロバート・ジョリンさんのアメリカンベーキング
ロバート・ジョリンさん
かつてベーカリーワールドカップで優勝したアメリカチームで活躍、現在はCIA(アメリカ料理学院)の講師を務めるロバート・ジョリンさんを講師に迎え、6月14日、日清製粉株式会社において開催されたアメリカンベーキングセミナーをレポートします。
今回のラインナップでは、USDA(アメリカ農務省)でこの6月初旬に、健康的な食事の指標として発表されたばかりの最新の”My Plate”で推奨されているような「全粒粉を摂ろう」、「減塩を心がけよう」などの要素を取り入れ、小ぶりに(いわゆるアメリカンサイズではなく)焼かれたヘルシーなパンと、飴がけされたクルミ、グレーズドウォルナッツを活用したパンに注目が集まりました。
グレーズトウォルナッツ。カリっと飴がけされたクルミ。
レーズン、クルミ、フィグを使ったパンとお菓子は日本でもポピュラーですが、ロバートさんの紹介されたような総菜パンや菓子パンの中には珍しいものも。アメリカ同様、さまざまな国の要素を持つ日本のベーカリーで今後活かされていくことでしょう。
ここでは今のアメリカのパンと素材の取り合わせの妙をお伝えすべく、プロ向けに実演されたうちから5種類を簡単にご紹介します。
フィグの全粒粉ロール
フィグの全粒粉ロール
フィグの全粒粉ロールは英語名に"Energy Rolls"とありました。一日の活力の源となる朝食用のヘルシーなパンです。甘い朝食も良いけれど、こういうパンなら朝から体に良いことをしている気持ちになりますね。
小麦全粒粉たっぷりの生地に胚芽、漬け込み穀物とフィグが入っています。「漬け込み穀物」とはアマニ、ひまわりの種、ライ麦全粒粉、黒ゴマ、オーツ麦を薄い食塩水に一晩漬けたもの。漬けることで固い素材が食べやすい食感になります。フィグを漬け込んだ水は捨てずに仕込みに使われます。
ウォルナッツのスティッキーバンズ
ウォルナッツのスティッキーバンズ
健康に配慮したアイテムが多い中、「決してヘルシーとは言えないのだけれど、カプチーノにぴったり、朝食に人気」と紹介されたスティッキーバンズ。カラメリゼされたクルミとブラウンシュガーのコク、シナモンの香りが人気の秘密です。
このパンの最大の特徴はハニーグレーズで、ブラウンシュガー、バター、ハチミツ、シナモン、ライトコーンシロップ、水、グレイズドウォルナッツを火にかけてから冷まし、バターを塗ったタルト型に入れておきます。この上にロール型にした生地をのせて焼きますが、さかさまにして取り出す時、早すぎると流れ出てしまい、遅いと冷えて固まってしまうのでタイミングが大切です。
ウォルナッツのスティッキーバンズの成形