主人在宅ストレス症候群とは…夫の存在が妻のストレスに?
大切なパートナーであるはずの夫が、妻のストレスになっていることも
平日は奥さんに見送られて仕事へ向かう。休日は助手席にその奥さんを乗せてお出かけ。近所の目にも、それは仲睦まじい夫婦で、夫が定年退職した後も、2人は末永く仲良く暮らしていました……。
といった幸せな人生は、残念ながら全ての夫婦が送っているわけではありません。
定年退職後に限らず、何かの理由で夫が一日中家にいるようになり、あれこれ言ってくれば、妻にとっては、かなりのストレスになるようです。場合によっては、そのストレスで心身に変調が生じてしまい、いわゆる「主人在宅ストレス症候群」を発症するケースもあります。今回はその詳細を詳しく解説します。
主人在宅ストレス症候群の原因・特徴
主人在宅ストレス症候群は、その名前からも想像できますが、夫が家にいることで、妻にかなりのストレスが発生することです。それは、男性からすれば不公平な話かもしれず、あたかも自分が家にいてはいけない気持ちになるかも。とは言え、夫が妻にぐじぐじ文句を言うのは、たいていのご家庭ではご法度かもしれません。夫としては、まず妻がストレスを覚えるわけを充分理解したいものです。例えば、もし夫が長年、平日は夜遅くまで仕事で、週末は接待ゴルフに出かける…といった様ならば、妻の目には、夫は家族の団欒を放棄したように映るかもしれません。それゆえに妻は妻なりの、夫抜きでも充分快適な毎日を確立しているはずです。
それがある日を境に夫が日中、家にデンと鎮座して、自分にあれこれ言ってくる事態は、1部の妻にとっては考えたくも無いことかもしれません。そうした妻たちのなかには、夫の退職日をXデーと呼んで、戦々恐々しているかたも、いるかもしれません。
また、コロナ感染の世界的な蔓延を受けて、大きく変わりつつある、今日の社会情勢においては、夫に在宅勤務がいきなり言い渡される可能性もあるでしょう。そうした際に発生する、生活環境の大きな変化は、通常かなりのストレスです。場合によっては、それをきっかけに、夫にうつ病など心の病気が出る可能性もあります。一方、妻にとっては、長年、築いてきた自分なりに快適な毎日が、夫の存在で一変するかもしれません。そのストレスレベルによっては、妻が心身の調子をかなり崩してしまう可能性もあります。
主人在宅ストレス症候群の症状
主人在宅ストレス症候群で出てくる問題は基本的には、夫の在宅時間が以前よりかなり長くなって、妻に出てくるストレス症状です。具体的には以下のような問題の中から、幾つかが同時に出てきます。- 冴えない気分
- 強いイライラ感
- 頭痛や肩こり
- 高血圧
- 突然の動悸や息苦しさ
- 消化器潰瘍
- 下痢あるいは便秘などの、過敏性腸症候群
- 免疫力の低下から、風邪をひきやすい状態
主人在宅ストレス症候群の予防法・治療法
主人在宅ストレス症候群への対処は基本的には、夫の在宅から生じるストレスへの対処になりますが、まずは予防が肝心です。夫が定年退職される、あるいは勤務先でテレワークが始まる日など、その日付があらかじめ決まっていれば、その前に、夫が一日家にいる日を作るなど、その予行演習をすることは、夫も妻も心の準備に役立つでしょう。また夫側は職場の先輩や仲間のそうした話は、たとえその時は他人事のように聞こえても、話のポイントぐらいはしっかり覚えておきたいものです。一方、妻側は妻側で、ご自分のネットワークを通じて耳に入ってくる、周りの方たちのそうしたストレス対処法などは、かなり役立つはずです。
いざそのXデーが来て、もしも何か問題があれば、場合によっては、つい感情的に「別れる!」と言いたい瞬間もあるかもしれません。しかしそうした極端な言葉を出す前に、まずは問題の解決策を探りたいです。もしもそうした状況で、その夫が何か小さなことを妻にあれこれ言いつけていたら、それにストップを掛けるためには、夫はまず妻のストレスが、自分のそれが原因でかなり溜まっていることを充分理解する必要があります。夫が何か自分の活動を見つけて、昼間は家の外に出る、といった事が場合によっては最終的な解決策になるかもしれません。
もしも夫が妻の言葉にまるで耳を貸さない場合、場合によっては、その夫は妻の話は軽く耳に流してしまうが、専門家の話ならば、しっかり耳を傾ける…といったタイプかもしれません。そうした際は、カウンセリングルーム、あるいは精神科(神経科)を夫婦一緒に受診されて、そうした専門家からアドバイスを受けてみることも、覚えておきたい1つの道です。
もしも夫の在宅ストレスがきっかけで、妻が、うつ病や心身症など心の病気を発症した場合は精神科での治療が必要です。その始まりの可能性に気付く目安としては、もしも何か普段とは違うレベルでの心身の不調が1週間以上続いていれば、その時点でぜひ精神科(神経科)受診を、ご考慮してみてください。
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