では、都心から1時間ほどで山懐まで行け、なおかつプランを縦横にたてやすい鉄道に平行した尾根があるエリアをご説明しましょう。
東京から放射線状に伸びた路線を一箇所づつ検討していきます。
【東海道本線】
海沿いに過ぎて小田原まで沿線に山がありません。残念。【小田急線】
当該ハイキング地図 「山と高原地図28丹沢」(昭文社945円)丹沢の入口大山から山中湖まで、曲がりくねりながら延々と尾根が続いているのですが、小田急線からちょっと離れています。しかし、大山から塔の岳を経て鍋割山まではエスケープルートが豊富にあり、コースの長さの調整は自由自在です。
塔の岳は標高も1490.9mあり山容も大きく、谷が深く入り込んでいるので、大倉を起点にすれば、スタート・ゴールを同一にするU字型の尾根コースができ、エスケープルートも十分にあるのでトレラン向きです。
展望に優れて登山者が多いエリアですし、塔の岳山頂には有人の山小屋があるのも安心できます。ただし、コースが主稜の南側なので、日当たりは抜群。夏は日除け仕度と十分な水分の携帯を忘れてはいけません。
【京王線】
高尾山の大見張らし。富士山も都心も一望。拝日の出の名所
観光ミシュランで★★★評価高尾山の麓まで線路が伸びているのですが、路線に並行した尾根はありません。しかし、高尾山口駅を起点に、城山湖から東京都と神奈川県の県境尾根を景信山まで縦走して起点に戻る扇状のコースは、豊富にエスケープルートがとれ、距離を自在に調節できます。
週末の好天時なら尾根に茶店が何軒も営業しているのも安心です。
【中央本線・富士急行】
当該ハイキング地図 「山と高原地図27高尾・陣馬」(昭文社945円)路線が桂川の谷を走っていますから、その両側に尾根が続きます。特に線の南側の尾根は、走りごたえのある長さでウルトラレースの練習に恰好です。
北側の尾根は2ブロックに分かれています。線路からはやや離れています。
(1)北側 高尾駅~景信山~陣馬山~生藤山~上野原駅
大きな白馬の像が出迎えてくれる陣馬山
生藤山は路線からかなり遠ざかります。手前の陣馬山までが初心者には手頃でしょう。景信山、陣馬山には茶店もあります。
(2)北側 四方津駅または梁川駅~扇山~百蔵山~猿橋駅
このコースは短いのでエスケープルートも少ないですが心配ないでしょう。百蔵山の下りがちょっと急です。コース最後の下りなので注意しましょう。二山とも大月市の秀麗富嶽12景にリストアップされている長めの良い山です。
(3)富士急行東側・中央本線南側 猿橋駅~神楽山~九鬼山~高畑山~倉岳山~矢平山~高柄山~上野原駅
猿橋駅が最寄り駅の御前山からの展望
九鬼山頂から富士急とリニアモーターカー実験線を見下ろす
とても長いコースです。このコースを1日で走破するには、フルマラソンの完走も苦にしない体力がないと難しいですが、2つに区切れば一般的な練習にちょうど良く、3つに区切れば初心者でも大丈夫。尾根の北側斜面を登るので、涼しく登れるという利点もあります。エスケープルートも多いですし、高畑山~倉岳山~矢平山の間は南側斜面に下ると歩いても30分でバス道に出られます。
猿橋駅~九鬼山の間は、尾根が中央本線ではなく大月駅からの富士急行線に平行しています。