大切なのは食べているかより「何を食べるか」
主食に加えておかずが多いほど脳の機能も高まります。
けれども、川島教授のお話しでは、「朝ごはんを食べている」という数字だけでは安心できないということが指摘されました。
朝ごはんの献立の中で、おかずをきちんと食べているかどうかを分析すると、4、5割の子どもたちはおかずをとっていないことがわかりました。あとの約半分の子どもたちは、パンだけを食べたというような子どもがいますが、それでも朝ごはんは食べたということになります。
川島教授のグループが、子どもたちの食事と脳の働きを調べる調査をされた結果、すべての脳の働き方のテストのスコアは、朝食のおかずの数と正の相関関係にある、つまりおかずが多ければ多いほど、すべての脳の機能が高いと言えるそうです。
主食+おかずで栄養のバランスよく食べる
私たちの脳の中では、神経細胞と呼ばれている細胞が電気を出すことによって、考えたり、体を動かしたりすることができます。この神経細胞は、栄養素としてはブドウ糖しか使いません。脳は、ブドウ糖の供給源である主食をきちんと食べないと、たとえよい脳を持っていても働かないのです。川島教授は、「学習とは、脳のネットワークを強化することだ」と解説されました。脳の細胞から電気を流す電線を神経線維といい、神経細胞とつながっている場所をシナプスといいます。学習をして繰り返し電気を流すと、シナプスの数がどんどん増えたり、神経線維自体が太くなったりして、より電気を伝えやすくなります。
この生体物質を新たにつくる際には、ブドウ糖だけではなく、タンパク質や脂質、ビタミン、ミネラル、すべての栄養素がバランスよく必要になるのです。
また、米食の方が効果も高いというデータもあるそうです。パンの食事というのは、おかずをとらずに菓子パンひとつでも朝食として成り立ってしまいますが、ごはんの場合は、ごはんだけでは成り立ち難く、簡単にすますにしても、おみそ汁や納豆、お漬け物など、自然と他のおかずと組み合わせて食べやすくなる点がよいのでしょう。
またパン食をしたらダメなのかというと、そうではなく、精白粉と比べると未精製粉のパンの方がよいそうで、つまり精白粉のパンであれば、卵料理、ヨーグルトや果物などできるだけ様々な栄養素が摂取できるように心がけることが大切ということでしょう。